3D 印刷しているときに,移動中のプリントヘッドが糸をひき,もようをつくりだすのをみていて,それを積極的にためしてみようとおもった. 円筒を印刷するようにして,しかしフィラメントの量をずっとすくなくしてみると,セル・オートマトン風のパターンをえがくことができる.
以前,ランダムな非同期セル・オートマトンの論文を書いたことがある. 上図はそのときに生成したパターンだ. 最上段から計算をはじめて,しだいに下にのばしている. 平面にえがいているが,左右の端点は実はつながっているので,実際は円筒上にえがいていることになる.
今回 3D 印刷でつくりだしたパターンはすこしこれににているが,それは,その生成のしかた (非同期性),ランダムさがはいっているところがよく似ているからだろう. 3D 印刷の場合は下にのばしていくことができないので,逆に上にむかってえがいていく.
上のセル・オートマトンのパターンは下にいくにつれてパターンが左にながれていくようにみえるが,それに似て,上の写真では 3D プリンタがつくったパターンがながれていくが,右まわり (時計まわり) の印刷ではパターンは左まわりになり,左まわりの印刷ではパターンは右回りになる.
ほとんど 1 本の線になっている部分もあるが,2 本が 1 本に融合したり,1 本が 2 本に分裂したりしているところもある. 融合と分裂が比較的みじかいあいだにくりかえして,網目状になっている部分もある.
パターンがながれないように,右まわりと左まわりとを交互にしてみたのが下の写真だ. それによって,パターンがながれるのは期待どおりにとめられた. しかし,いつもおなじ部分で回転を逆にしているので,そこでのパターン生成がさまたげられている (右下の写真では,前面でパターンのない部分がひろがっているのがわかるだろう).
プリントヘッドの移動速度をかえたり,フィラメントの析出量をかえたりしてみたが,パターンじたいにあまりおおきな変化はなかった. ただし,パターンがながいきするばあいと,すぐになくなってしまうばあいとがある. パターンがなくなってしまうと,フィラメントは空中に糸をひくしかなくなる (下の写真).
最後の 2 枚の写真では,パターン生成がうまくいっていない. 空中に糸をひくだけではなくて,あまったフィラメントがちぎれて,あちこちにくっついている.