ニューヨークに出張した最初の日は時間があったので,MidTown あたりをあるき,MOMA (近代美術館) をみて,最後はニューヨーク・フィルのコンサートにいった. シャルル・デュトワの指揮,3 人のチェリストをむかえてのラベルのスペイン風ラプソディー,ペンデレツキのコンチェルト・グロッソ,ムソルグスキーの展覧会の絵という曲目だ. ペンデレツキは作曲家本人もきていて,もりあがった. 展覧会の絵はくふうのある演奏であり,さかんな「ブラボー」をうけていたが,私にはすこし疑問がある.
グッゲンハイム美術館にいくつもりでセントラル・パークの東側をあるいたのち,公園西側にでて,さらにリンカン・センターまであるいた. 夕食はすませた気でいるので,開演までまだ 1 時間以上ある. リンカン・センターにもこれまで 2 回きているが,その 2 回はメトロポリタン・オペラをきいた. あまり余裕をもってきてはいなかったので,ほかの場所はみていない. 今回は目的地がコンサート・ホール (Avery Fisher Hall, 左下の写真) だが,時間があったので オペラ (右下の写真正面) とシアター (右下の写真の左側) もなかにはいってみてみた. シアターではバレエがみられる. オペラでもなにかあるようだ.
今回,出張がきまってから,なにかコンサートをきこうとおもった. これまで 2 回はメトロポリタン歌劇場にいっているので今回もそれをかんがえたが,出張日のあいだにあまり適当なものがなかった. 10 月 30 日には Nico Muhly という作曲家の "Two Boys" という新作が上演されるというのですこし興味があるが,これは飛行機にのっている時間だ.
つぎにしらべたのがニューヨーク・フィルだ. 26 日の 2 時と 8 時にに上記の演目があり,どちらにするかかんがえたすえ,8 時にした. きめたときには 2 時でもまにあうとかんがえていたが,実際にはまにあわなかった可能性がたかい.
今回はニューヨークへの移動当日であり,ながい 1 日のすえにコンサートにいくので,寝てしまう可能性がたかいとかんがえた. そのため,あまりたかい席はさけて,50 ドル強のところにした. 4 階席の左側,舞台の一部はかくれてみえない場所だ. 指揮者が登場するのがそのかくれたあたりなので,逆側のほうがよかったかもしれない. ホールは比較的縦長だ. 日本でいえばオーチャード・ホールのかたちにちかいようにおもえる. ただし,幅は Avery Fisher Hall のほうがひろい.
ラベルの音楽はだいたい派手だが,ラプソディーはそれをおさえた演奏だという印象をうけた. 多少のとちりはあるが,よくまとまった演奏だ.
ペンデレツキは 3 人のチェロ奏者によるコンチェルトだ. 後期のペンデレツキの作品であり,あまりアバンギャルド性はない. いまコンサートでとりあげられるのは,そのためだろう. それでも,ペンデレツキの作品がとりあげられることはすくないのだろう. 作曲家はいまもポーランドに住んでいるということだが,このコンサートのためにきていた. 演奏後よびだされて,あいさつしていた. (まだ ?!) 80 歳だという.
前半 2 曲がよくしあげられていたのに対して,ムソルグスキーはアンサンブルがうまくあっていないようにおもえた. とちりもめだった. しかし,ニワトリが (ずっこけるように ?!) あるくさまを描写した部分はあえてリズムをはずして塩素したのだろう. デュトワは弦楽器の出をこまかく指示していた. 弦楽器の音をわざとずらして,そのあとの管楽器はリズムどおりにでる. みていなければ,ただへたな演奏をしているだけのようにもきこえる. ここまでやるのがよいのかどうか,わからない. とくに編曲者がラベルであることをかんがえるとそうだ. とはいえ,ファジル・サイのピアノによる展覧会の絵をきいても,意図的にごつごつした演奏をしている. 最近のムソルグスキーの曲の解釈を反映しているのかもしれない.
演奏後,くりかえし「ブラボー」をきいた. そこまでするかという感じだ. 私はひかえめに拍手しておいた. ながい 1 日のおわりであまりエネルギーはのこっていなかったが,ほとんど寝ずにきくことができた.
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