「ゆらぎ印刷」 の実験はこれまでできるだけ純粋なパターンを生成しようとしてきた. パターンの解析のための方法もまだくふうする必要があるが,そろそろ応用もかんがえるべき段階だ. CAD で生成されたモデルの表面を (あるいは内部も) 「ゆらぎ印刷」 にしてみようとかんがえた. とりあえずは,PLA をつかって,うすい皮だけの花瓶と,なかまでつまったペンローズの 3 角形とをためしてみた.
花瓶としては,既存の STL ファイルがすぐにつかえるハート形の断面をもつ花瓶をためした. スライサーとしては Skeinforge をつかう. 「ゆらぎ印刷」 のために Skeinforge のためのあたらしいパラメタ・セットをつくる. 層のあつさとしては最初は 0.25 mm をためした. これでは失敗しやすいので 0.2 mm と 0.15 mm をためした. 0.2 mm でもだいたいうまくいくが,ハートのくぼみのちかくがうすくなりすぎる. 0.2 mm のときはうまく一方向にヘッドが移動したが,0.15 mm のときはヘッドが往復するのできれいなパターンができない (下図). そのかわり,ハートのくぼみの部分も一様なバターンができた.
Skeinforge の speed の指定で feed rate と flow rate setting を指定するが,これらの値が重要だ. ためしたくみあわせは (100, 40), (200, 100) などだ. 標準的なくみあせは (50, 40) などだ. それにくらべると feed rate は 2 倍以上,フィラメントの密度は半分程度だ.
0.2 mm でうまくできたもの 2 個の写真をのせる. パラメタは (200, 100) をつかっている. 右下の写真にはつぎめのようなものがうつっているが,これはある層からつぎの層にうつるときにヘッドの速度が低下するためにできる. 従来のスライサをつかうときには,これはさけがたい.
なかまでつまったオブジェクトにおなじパラメタを適用してみた. ペンローズの 3 角形に適用してみると,密度はうすいがかたちはうまく形成された. 表面にはゆらぎのパターンが形成され,内部には空洞ができる. しかし,すくなくともこのようなあつみのあるかたちならば,空洞の存在によってかたちがくずれる危険はすくない. とはいえ,空洞がそとからみえてしまうので,カッコわるい.