Rostock MAX のエクストルーダですでに 2 回過熱してプラスティックがとける事故をおこしていたが,最近買った PLA のフィラメントがうまくあつかえずにいじっているうちに,3 回めの事故をおこしてしまった. 2 回めと同様にプラスティック部分がすべてだめになったが,なんとか修理しようとしている. 過熱事故が再発しないための対策がもっとも重要だが,より確実な方法をかんがえた.
Rostock MAX のエクストルーダのサーミスタはすっぽぬけやすい. ぬけるとヒーターがとまらなくなるので過熱する. すぐに気づかないと上下の金属部分をつないでいるプラスティックがとけて,それを交換しないかぎりつかえなくなる. 前回はヘッド全体をとりかえたが,とりよせるにはコストも時間もかかるので,今回は修理したい. プラスティック部品はそのとき予備を買っているので,それをつかえばよい. ただし,金属部分についた ABS を除去しなければならないが,完全にとりのぞくのは困難だ.
ABS を除去するには,熱でとかして物理的にとりのぞく方法と,溶剤でとかして化学的にとりのぞく方法とがある. 後者のために適切な溶剤がないか Web でさがしてみたが,あまり適切なものがない. ABS は耐薬品性がそれほどつよくないというのだが,かといってよくとける溶剤があるわけでもないようだ. もしよいものがあるとしても,1000 円以上はかかる. 結局,この方法はあきらめた.
ヒーターとサーミスタの線はつないだままプリンタ本体からヘッドをはずして分解し,230℃ くらいに過熱した状態で内部の ABS をとりのぞく. 手でさわるとやけどするので注意が必要だ.
最初は冷却してからプラスティック部分をねじこもうとしたが,それではネジ山がつぶれてしまって固定できなくなることがわかった. 加熱した状態でねじこむ必要がある. 内部に PTFE 樹脂のチューブがはいっていて,それもとけているので交換が必要だ. これもあらかじめ買ってある. このチューブのながさをかなり正確にきめてやる必要がある. みじかすぎるとノズルのちかくに ABS のたまりができてぐあいがわるいし,ながすぎるとおさまらなくなる. すでに 1 回こころみてみたが,ながすぎるチューブをむりやりおしこんだ結果,先端が変形してうまくエクストルードされなくなった.
これまでサーミスタはシリコンゴムで固定していたが,これではリード線がひっぱられるとぬけてしまう. ぬけるといくら加熱してもサーミスタの温度があがらなくなるので過熱する. そこで,サーミスタをヘッドのあなにいれて,そのうえから PTFE チューブをはめたはりがねでおさえるようにした. 写真で横にのびている半透明のチューブがはりがねをおおっている PTFE だ. 写真中央あたりにあり上記のチューブでおおわれているあなにサーミスタがはいっている. 写真ではわかりにくいがサーミスタのリード線のうち 1 本ははりがねの上,もう 1 本は下からとりだしている. リード線がひっぱられると,あなからはずれるまえにリード線がちぎれるはずだ. これでかんたんにははずれなくなるはずだ. 線がちぎれたときにはヒーターは停止するようになっている.