4 月 5 日,新国立劇場でベルクのオペラ 「ヴォツェック」 を公演初日にきいてきた. 昨年フィガロをききにいったが,そのときより B 席がたかいので,今回は C 席にしてみた. 登場人物が比較的おおくおなじ衣装をきているひともいるので,この席からはくべつしづらかった. なまできくのははじめてだが,最初にレーザ・ディスクできいたときほどの感動はなかった. ベルクの音楽はいまでも魅力的だが,歌詞などは 100 年以上たって,もはや共感できるものではなくなっていると感じた.
20 世紀はじめ,それはかつては魅力的に感じられた時代だ. しかし,このオペラに反映されている当時の文化やまちのようすは,21 世紀に生きるものにはとおい存在になってしまったようにおもえる. 20 世紀は戦争の時代でもあり,それもいくらか反映されているが,よりつよい影響をあたえているのはフロイトだろう. それもすっかり過去のものになってしまった.
3 幕のオペラだが,休憩をとらず 2 時間ちかく演奏がつづいた. 休憩があれば,そこでまえの幕の復習やつぎの幕の予習をしたりするが,そういう時間がないのはきびしいともいえる.
会場からの拍手は熱狂的なものではなかった. ひととおりカーテンコールがすむと,みな帰途についていった. オペラシティをまわってかえろうとすると,チェロを背負った男女ひとりずつをみかけた.
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