最近,手続き的に 3D 印刷する方法をいくつかためしているが,すくなくとも最近の文献のなかにはこのような方法はみあたらなかった. しかし,1950-60 年代には APT という言語があって,手続き的な切削加工を手続き的に記述しようとしていたことがわかった. 機械屋には周知のことなのかもしれないが,ACM という私のメインの学会 (コンピュータ学会) で論文が掲載されていたにもかかわらず,これまでまったく知らなかった.
数値制御の工作機械が工場に導入された当初は,みな手続き的な方法で切削加工のプログラムを書いていた. CNC でよくつかわれるのは G-code だが,G-code のプログラムを直接書くのは容易でない. 私はそれを Python のライブラリというかたちでより容易にしようとしているのだが,APT の場合は言語をつくるという方法によって容易化をはかっている.
APT の論文は機会関係ではなくて ACM のジャーナルなどに掲載されている. 1963 年の CACM に基本の論文が掲載され,1978 年の SIGPLAN にもながい論文が掲載されている. それにもかかわらず,私は APT のことをまったく知らなかった.
CNC マシンのカタログなどをみると,いまでもときどき APT ということばがあらわれていることがわかる. Web をさがすと,いまでも APT が便利なばあいがあるという意見もあるようだ.
しかし,いまでは CAD をつかわずに機械部品をつくろうというひとはまずいないだろう. それは切削加工だけでなくて付加加工つまり 3D 印刷においてもかわらない. APT のような言語がつかわれたり G-code が直接つかわれることがあるとしても,それは補足的なやくわりをもっているだけだ.
一方,私は手続き型言語による機械加工がわすれられた過去のものだということを知らずにそれをこころみてきたわけだが,それは過去にすんだ話をむしかえしていたわけではない. 付加加工においては切削加工とはちがう手続き型の利点があるということだ. とくに,フィラメントを積んでいくばあいには印刷の方向が切削加工にはない意味がある. 単なるむしかえしと誤解されると論文を書いてもおとされるだけだろうから,その利点をしっかり主張しなければならない.