工学院大学でのイーサネットの教育のためにシミュレータ clsim をつくったことについては,このブログでも,また講義のブログでも書いてきた. すでに適切なシミュレータがないようにみえたことが自作した理由だが,どうやら,ちかいものはあることがわかった.
NetEmul は claim にちかい目的をもった教育用のシミュレータだ. Windows 版と Linux 版とがあり,Linux 版は Ubuntu 用のパッケージもある. 視覚的なユーザ・インタフェースをもっている点では clsim より初級者教育に適しているとかんがえられる. IP についておしえることがおもな目的だとかんがえられるが,スイッチやハブもつかえる. したがって,シミュレーション動作に関しては clsim でできる範囲をカバーしているといえる. (ただし,IP パケットしかながすことができないので,IP アドレスなどの設定は必須だ).
しかし,NetEmul には不満な点もある. clsim で実現したかった (そして実現した) のは,準リアルタイムにスイッチなどの動作がみられることだ. そのため,clsim ではつねにアドレス・テーブルなどの内容を表示・更新する. しかし,NetEmul ではサブウィンドウをひらいたときだけ,アドレス・テーブルなどの情報が表示される. しかも,ひとつのサブウィンドウをひらいているあいだは,他のサブウィンドウをひらくことはできない. この点は clsim にくらべてはるかによわい.
というわけで,clsim を開発したことはむだではなかったとかんがえているが,しかし,NetEmul は clsim の開発に着手する以前の 2010 年にはすでにあったようであり (しかし私はしらなかった),その存在を知っていれば clsim を開発しなかったかもしれない.