1980 年代からつづいている 3D 印刷の学会である SFF シンポジウムで発表するため, 真夏のテキサス (オースティン) にでかけた. 今回の SFF シンポジウムではプラステイックに関するセッションが 3 日間をとおしてあったので,2 日めの午前はナイロンとポリマー,午後は extrusion とリトグラフのセッションをきいた.
Verbelen らの発表などでは,おなじナイロン (ポリアミド) の粉末でもいろいろ性質がちがうというような話をしているが,私は見たこともないものなので,ただただ「そうですか」ときくしかない. そのなかでも PA12 というのが他の発表でも一番よく登場する.
東大の新野 (Niino) 教授の発表もこの時間にあったが,これは PEEK (polyetheretherketone) というプラスティックに関するものであり,私にはなじみがない (というか PEEK という名前もしらなかった).
午後にはまず U. Michigan の Jin らによるシリコーンの印刷に関する発表があった.
つぎに Printrbot のような安価な FDM (fused deposition modeling) プリンタでの印刷をはかり (計測し) まくって,その限界をみさだめた MIT の Go らの発表 (Rate Limiting Tradeoffs in Machine Design for Extrusion-based Additive Manufacturing) があった. いろいろはかっているのはよいし,参考になるとかんがえられるが,ステッピング・モータのトルクがたりないのが限界だというのはうたがわしい. なぜなら,トルクがフィラメントにちゃんとつたわっているのかどうかを問題にしていないようにみえたからだ. プリントヘッドの根元から先端までの温度をはかっていたが,先端で温度が低下する理由をちゃんと把握しているだろうか? ファンによる冷却の影響をできるだけうけないようにすることが重要なようにおもうのだが,ファンには言及していなかったようにおもう.
セラミック・ペーストの印刷に関する発表が 2 件あった (J. Li and W. Li, Missouri U. of Sci. and Tech.). まえの発表もふくめて,こういう比較的安価につくれるプリンタに関しては,中国系のひとの発表が多いようにおもう.
しばらくまえに Science にのって話題になったフォト・レジストで高速に印刷する方法 (Continuous Liquid Interface Production, CLIP; Exposure Controlled Projection Lithography, ECPL) をためした発表が 3 件つづいた. U. of Southern California の X. Li ら (Y. Chen の研究室) は超高速な印刷をこころみていた. Georgia Institute of Technology の Zhang らはその方法があまりにかんたんに成功したため論文ネタさがしに苦労したというが,後処理と脱酸素などの方法をくふうしていた. University at Baffalo の Zhou らは光でかたまったものが容器にはりつかないようにすることなどを発表していた.
午後の最後はポスターだった. そのなかに Makerbot と Gigabot という,フィラメントのふとさやノズルのおおきさがことなるプリンタによる印刷を比較しているものがあった. (梗概集でさがしたが,みつからない.) ちょっと興味があったのできいてみたが,あまりに条件のちがうものを比較していので,うまく比較できていないようだ. そのため,じっくりきこうとおもっていたのをやめることにした.
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