1980 年代からつづいている 3D 印刷の学会である SFF シンポジウムで発表するため, 真夏のテキサス (オースティン) にでかけた. 自分の発表は最終日の午後一だ. 事前にはいろいろ発表の方法などをかんがえていたが,おもったようにはいかなかった.
発表の内容はらせん状 (helical/spiral) に 3D 印刷する方法についてだ. 印刷する基本的なかたちはらせん (helix, spiral) だが,それをソフトウェア状で変形させて皿や容器,球などを印刷することができる. 従来の 3D 印刷 (FDM) ではこういうことはできなかった. さらに,らせんをえがくときにそこにテクスチャマップすることができる. つまり,もようや文字などをかくことができる. 写真の地球儀はそうやって地図をマップ (!) したものだ. 内容のほとんどはすでに発表してきたことのまとめなおしだが,あたらしい視点もはいっている. 論文はまだ出版されていないが,私のぶんは ここ からアクセスできる. [この段落は 2015-8-25 追記]
開始 30 分まえには会場にいったが,まず,へやをまちがえていた. それに気づいて,ただしいへやにいったが,座長らしきひとがいない. 実はすわっていたのだが,そういう雰囲気がなかった.
ひとりの発表者が最前列にすわっている女性と話をし,自分のスライドをテストしようとした. その女性が座長だとわかったが,まずスライドがうつるようにすることが先決になった. プロジェクタの電源がおとしてあったのだが,座長はそとにひとをよびにいった. その間に発表者はプロジェクタの電源をいれた. しかし,スライドがちゃんとうつるまでには,さらに数分かかった. そのため,私はテストできないまま,直前までまっていた.
ようやくその発表者が PC からはなれたので,私は自分の MacBook をつないでみた. 問題なくうつすことができたが,すでにほとんど開始時刻になっていた. 実は印刷サンプルを会場のひとにみせようとおもってもってきていたのだが,そんなことをしているうちに,わすれていた.
発表のストーリーはほぼかんがえていたとおりにできた. 時間がたりないので 1 枚のスライドをはしょったが,それは予定どおりだ. 印刷する様子のビデオも用意していたが,省略した. それも,質問をいれて 20 分というなかではみせられないだろうとかんがえていたから,予定どおりだ (ただし,あとでおもったのだが,質問の時間にそれをまわしておくことはできたようにおもう).
問題だったのは,よみまちがえやまずい発音がおおかったことだ. そのために,ききとりにくく,わかりにくい発表になってしまったようにおもう. 質問は 1 件だけだったが,それは時間がかぎられていたからだけでなく,質問してもうまくこたえられないだろうとおもわれたからでもあるかもしれない.
その 1 件の質問の内容は,この方法では 1 枚の壁だけしか印刷できないのではないかというものであり,それは,まとをえた質問だ. 現在の 3D プリンタをつかうかぎりはそれしかできない. 5 軸または 6 軸のプリンタがあれば多層の壁をつくることができる. それをこたえて,私の時間はおわった.
直前の準備もたりなかったが,別項にも書いたように,やはり,ひとめで特徴がわかるものを印刷してみせることが必要なのだろうとおもう. 地球儀の印刷のしかたに特徴があるといっても,もっとべつのタイプの地球儀の 3D 印刷は多数あり,それとくらべてなにがよいのかは,1 分くらい説明しないとわからない. あたらしい印刷法をかんがえたなら,見てすぐにわかる差をだす必要があるのだとおもった. この「らせん印刷」でそれが可能かどうかわからないが,そうだとしたら,他の方法をかんがえて勝負する必要があるのだろう.
2015-8-15 追記:
この学会では基本的に全部の発表をうけてれているらしいが,希望者は論文査読をうけることができるという,ユニークなしくみになっている.
査読をうけるひとは,かわりに他の 2 つの論文を査読する.
査読結果は学会開始日までにうけとれることになっていた.
しかし,査読を希望した私が結果をうけとったのは日本にかえってからだ.
質問は上記のように 1 件だけだったので,発表内容がどのようにうけとられているかはよくわからなかった.
査読結果をみてみると,かなり好意的にうけとられていたようであり,自信をもつことができた.
やはりこの結果を発表前にうけとりたかった.
関連項目: