著者は 20 世紀はじめの無調音楽の時代から 20 世紀おわりまでの,さまざまな「現代音楽」とその作曲家をとりあげている. そして,それを今後の展望にまでつなげている. しかし,今後にまでつなげるにしては,このせまい世界にとじこもったままの評論になっているようにおもえる. 「ポピュラー音楽」へもわずかに言及しているが,ジャズや民族音楽などとの接点を模索した「現代音楽」作曲家のこともふくめて,とりあげられていない重要な話題が多いようにおもう. もうすこし視野をひろげていくと,音だけにこだわったこの議論の弱点がみえてくるようにおもえる. AKB をはじめとして,現在の「音楽」はむしろ音以外の要素がおおきい. それらをとりあげないかぎり,「黄昏」というよりはむしろ博物館の標本に関する議論にしかならないようにおもえる.
評価: ★★★☆☆
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