3D らせん印刷という独自の 3D 印刷法によって,地球儀など,中空の球をつくってきたが,ちいさい球が中心だった. 10 cm の地球儀もつくってきたが,しばしばゆがんだかたちになっていた. 最近,印刷プロセスを最適化して,直径 2 cm 以下の球から 16 cm までの球がだいたいうまくつくれるようになった.
いま使用しているプリンタは直径 20 cm くらいであり,16 cm でもうまく調整しないとヘッドがベルトなどにぶつかる. これがぎりぎりのサイズだ. 10 cm から 16 cm のものまで,写真をのせておく (下の写真). 以前つかっていた Rostock MAX ならばもっとおおきい球もつくれるはずだが,現在,故障していて修理が必要だ.
16 cm の球をうまくつくるには,フィラメントのピッチをうまく選択し,さらに吐出量を調整する必要がある. 最初はピッチもちいさめで吐出量もすくなめにしていたため,かたちがくずれてしまった (下の写真). 直径 8 cm 以下ではほとんど問題がおこったことはないが,10 cm になると同様の問題がおこっていた.
ピッチは最初プログラム上で 0.275 mm を指定した (実際にはそれよりややおおきい) が,これを 0.325 mm にまで拡大した. ピッチがちいさくても吐出量をふやさなければ変形しやすくなる. ピッチがちいさいまま吐出量をふやすと,フィラメントがあまって極付近ではしわがより,赤道付近では光沢がなくなって魅力がうすれる. ピッチを拡大するとこれらの問題は解決される.
16 cm の球の印刷に成功するまでに,まず,これまで歩留まりがわるかった 10 cm の球の印刷を調整するところからはじめた. 10 cm のときはピッチ 0.275 mm でうまく印刷できた. 印刷時間は 45 分を目標にしたが,それではむずかしく,50 分くらいかかるようになった. こうやってしだいに直径を拡大し,ピッチと吐出量を調整していった. それらのパラメタと印刷時間,重量を表にするとつぎのようになる.
直径 | フィラメント・ピッチ | 吐出量 | 印刷時間 | 重量 |
10 | 0.275 | 3500 mm | 50 分 | 24 g |
12 | 0.3 | 5000 mm | 70 分 | 32 g |
14 | 0.325 | 9000 mm | 90 分 | 58 g |
16 | 0.35 | 12000 mm | 130 分 | 85 g |