アメリカはシリアのアサド政権が化学兵器をつかった攻撃をおこなったとして,シリアの軍事基地をミサイル攻撃した. しかし,化学兵器がつかわれた可能性が非常にたかいとしても,それをやったのがシリア軍だという証拠は十分でないようにみえる. 不法に大量破壊兵器を開発したとしてイラクを攻撃したブッシュのやりかたに似ているようにおもう. 「アメリカファースト」のトランプはどこにいったのか?!
イラク戦争のときには,日英以外の国やイギリス国民のおおくはそれを支持していなかったが,日英政府はアメリカ支持をうちだした. いちはやく支持したことがあとでブレア首相への批判をまきおこすが,同様に支持した小泉首相は,不当にもあまり批判されることがなかった. 今回は日英以外のおおくの国もアメリカを支持しているところはちがうが,日英が支持をうちだしたところはイラク戦争のときと同様だ. 日英をはじめ,支持をうちだした国は化学兵器をつかったのがシリア軍だという証拠をにぎっているのだろうか? (写真の出典: Social Media Website / REUTERS TV)
この攻撃は,むしろ.化学兵器をつかったのがシリア軍だということを,それが事実であるかどうかにかかわらず,世界に印象づけるねらいがあるようにおもえる. 過去にも,それをつかったのがシリア軍だという証拠がないままアサド政権が非難されることがあったという. おなじことを,もっと劇的なやりかたで印象づけようとしているのではないか. イラク戦争のときには攻撃によって大量破壊兵器の存在を印象づけようとしたが,あとで実はそれがなかったことがわかり,失敗におわった. ブレアがあとできびしく批判されたのはそのためだ. 今回は同様のことがおこらないといえるのだろうか?
ねらいのひとつが北朝鮮にあるといわれている. 不法な大量破壊兵器使用・開発の兆候があれば軍事攻撃の対象となるというメッセージだ. 日本が即座に支持をうちだしたひとつの理由もそこにあるようだ. しかし,北朝鮮がそれをどううけとるのか,確実ではない. 裏目にでる危険もあるようにおもえる.