「螺旋 3D 印刷をアピールするにはアーティストになるべき ?!」と書いたが,螺旋 3D 印刷にかぎらず 3D 印刷でアート作品をつくるとき,その性質は版画にちかい.
立体的なアートとして従来からあるのは彫刻だが,同様に立体的な 3D 印刷によるアートの性質は彫刻には似ていない. 彫刻は基本的にコピーがつくれないから,おなじものは他にない. しかし,3D 印刷は多品種少量生産のための技術だから,その場合はおなじ G コードをつかって複数個おなじものをつくることができる. 通常の工業製品のように大量生産するのには向かないが,おなじものを少量つくるのに適した方法だ.
3D 印刷が似ているのは版画だ. 版画は 3D 印刷と同様に多品種少量生産むきの方法だからだ. それなら,3D 印刷でアートをつくるとき,版画で確立されてきた方法を参考にするのがよいだろう. 版画の場合,部数が限定され,作品の左下には i/N というような分数のようなかたちで部数と識別子が記入される. N が総部数であり,i が 1〜N の識別子だ. 3D 印刷品の場合にもこのような表記をすればよいが,どこに表記するかはかんがえなければならない.
版画の場合は限定部数を保証するために版は廃棄されるが,3D 印刷の場合は設計データを廃棄することになる. 螺旋 3D 印刷についていえば,もしそれが専用のプログラムでつくられたものならば,そのプログラムとそれが生成した G コードを廃棄すればよい. 波のインタフェースでつくられたものなら,G コードとそのなかにふくまれているパラメタ・セットを廃棄すればよいだろう.