螺旋 3D 印刷でつくった「3D デザインランプ」をきれいにみせるには,その写真のダイナミック・レンジをひろげる必要がある. そのためにディスプレイのダイナミック・レンジをひろげることも検討してみたが,現在のディスプレイには限界がある. 紙に印刷したものをきれいにみせることをかんがえたほうがよいようだ.
展示会などでは 3D デザイン・ランプそのものをうまくディスプレイすることで,その光の魅力を表現することができる. しかし,あらかじめ撮影した写真をうまくみせることも必要だ. 通常は写真のダイナミック・レンジをあげる (HDR にする) ということばは,ダイナミック・レンジを圧縮するという意味でつかわれている. そうではなくて,できるだけ圧縮せず,本来の HDR を実現することをかんがえたい. その場合は紙に印刷してみせる方法とディスプレイでみせる方法とがある. 写真では照明によってダイナミック・レンジがきまるから,その限界をこえるにはディスプレイをつかうのがよいのではないかとかんがえた.
そこで,Web と kakaku.com でダイナミック・レンジのひろいディスプレイをさがしてみた. HDR の技術としては Panasonic が開発したものがみつかったが,これはまだ製品化されていないようだ. kakaku.com でさがせる範囲では,あまりめだったものはない. 現在のディスプレイの大半は液晶であり,それじたいはひからないから,基本的に紙に印刷するのとおなじだ. コントラストをあげるために最低輝度がちいさいディスプレイを開発することはできるだろうが,それをいかすには周囲がくらいところで使用しなければならない. 最大輝度のほうが重要だとかんがえられる. たいていのディスプレイは最大輝度が 250 cd/m2 くらいしかない. これでは仮にいくらコントラストがたかくても,通常の照明環境のもとではダイナミック・レンジをひろくすることはできない. 最大輝度をあげるには光源である LED や蛍光灯の輝度をあげる必要があり,電力消費がおおきくなってしまう. 蛍光灯でも 9000 cd/m2 くらいの輝度があるということなので,ディスプレイの最大輝度はまったく不十分だ. したがって,ディスプレイで十分なダイナミック・レンジをえることは現実的でない.
より現実的なのは,ダイナミック・レンジのひろい印刷法で暗めの印刷をして,それにつよい光をあてることだとかんがえられる. 暗い部分で十分な階調がとれ,たかい S/N 比が実現できれば,それで目的が達せられるはずだ. しかし,印刷に関して「ダイナミック・レンジ」というキーワードで検索してみても,ほしい情報はみつからない. まだやっていないが,もうすこしくふうして,ほしいものをみつけたい.