これまで,螺旋 3D 印刷でつくった「3D デザインランプ」の写真がきれいにとれなくてこまっていた. 3D デザインランプの写真はもともと iPhone でとってきたが,きれいな写真をとるために昨年 10000 円ほどかけてカシオのカメラを買った. しかし,それでは部分的な解決にしかなっていなかったので,さらに追究した結果,iPhone の ProCam 6 という 720 円のアプリをつかうというところにもどってきた. まだ道なかばなので,これから,とった写真の処理法を追究したい.
照明器具の写真をきれいにとる・見せるのはむずかしい. 人間の目はダイナミック・レンジがひろいので,3D デザイン電球の光る部分と周囲のくらい部分を同時にみることができる. しかし,写真ではそれほどのダイナミック・レンジをとることができないので,光る部分を中心にすると周囲はうつらないし,周囲をうつそうとすると光る部分は飽和してしまう.
3D デザインランプつまり螺旋 3D 印刷でつくった電球や照明器具をプロの写真家にとってもらえばよいのではないかとかんがえて,「クリエイター EXPO」という展示会である写真家にきいてみた. すると,かえってきたこたえは写真家にたのむととても高くつくので,自分で HDR の写真をとればよいということだった. HDR (high dinamic range) とは絞りなどをかえてとった複数の写真を合成する方法だが,要するにダイナミック・レンジをうまく圧縮する技術だ.
ディジタル・カメラは印画紙やディスプレイよりはひろいダイナミック・レンジをもっているので,HDR をつかわなくても画像加工でダイナミック・レンジを圧縮すればある程度は目的を達することができる. Macintosh であれば,くみこまれている「写真」というアプリの「編集ツール」を使用することでガンマ・カーブを寝かせる,つまりダイナミック・レンジを圧縮することができる. あらかじめ写真を暗めにとっておいて,暗い部分がもっとあかるくなるように調整すれば,光る部分も周囲の部分もみえるようにすることができる. しかし,この方法ではあかるくした部分の S/N 比がさがる,つまりノイズがふえる. また,階調もあらくなる. それらの問題を解決するには HDR をつかえばよい.
マニュアル撮影を容易にするために,昨年,カシオのカメラを買ったが,このカメラでは HDR は容易にできなし,ほかにも適当な HDR 機能をもったカメラはみつからなかった. 3 脚で固定して複数の写真をとるのがもともとの HDR の方法だが,もっとかんたんに HDR の写真をとるには 1 回の撮影でとった画像をソフトウェアで処理するのがよい. kakaku.com で検索してみたが HDR 機能 (ソフトウェア) をもったカメラはほとんどないし,その機能をもったものでもパラメタ調整はできない. iPhone にくみこまれたカメラにはその機能がそなわっているが,やはりパラメタが調整できないので,おもうような写真は容易にとれない.
iPhone のアプリを検索してみると,ProCam 6 というアプリには HDR 機能があり,それに類似した AEB (Auto Exposure Bracketing) という機能ももっている. HDR 機能のほうはレディメードなので他の HDR 機能と同様にパラメタが調整できず,効果は限定的だ. HDR 機能をもった iPhone のアプリはほかにもあるが,やはりいまの目的にはあわないようだ. ProCam 6 の AEB 機能ではパラメタを自由にきめて 1 回の撮影で 4 枚の写真をつくることができるので,そうやってとった写真をべつのアプリで合成すればよい. 合成するには HDRtist などのアプリを使用すればよいとかんがえられる. まだパラメタの調整と合成がうまくいっていないので合成用のソフトウェアをくふうする必要はあるかもしれない. しかし,ProCam 6 をつかえば写真撮影じたいはうまくできるとかんがえられる. すこし試行錯誤すれば,うまくダイナミック・レンジを圧縮した写真がとれるとおもう.
結論をだすのはすこしはやいが,とりあえずまとめると,つぎのようなことになるだろう. iPhone にくみこみのカメラ機能では 3D デザインランプの写真がうまくとれないことからカシオのカメラを買ったが,いまおもうと iPhone のアプリをさがしたほうがよかった. 東京都の「デザイン相談」でも 1 眼レフ・カメラの購入をすすめられたが,それは目的にあっていないとかんがえられる. コンパクト・カメラでも 1 眼カメラでもソフトウェアを自由にかえることはできないから,ハードウェアは貧弱でもソフトウェアが自由になる iPhone のほうが目的にあっている.