デザイナとのコラボレーションがなかなかうまくいかないが,あきらめずに,今度は都の中小企業振興公社が開催した「コラボマッチング」というもよおしに参加した. 9 月 20 日に予定では 8 者,実際には 6 者と 25 分ずつ話をした. 25 分ではたりないことはあきらかなので,10 日に新宿に個人で場所を借りて 1 時間くらいの説明会を開催した. コラボマッチではそこから 1 者 (1 社) だけをえらびだすことになるが,まだ結果はでていない. しかし,公社がだす結果だけでなく,これまで出会うことができなかったタイプのひともふくめて,さまざまなデザイナと関係をむすぶことができたことが成果だとおもう.
事前説明会は通常は企業が自社の設備をつかっておこなうが,10 人以上の参加者が予想されるなかで,当方にはそういう場所がない. そこで,9 月 10 日に新宿の定員 8 人,最大 14 人というちいさな会議室を借りて説明会を開催することにした. Space Market というサイトで予約した. そこでは,会議室だけでなく,パーティやその他さまざまな目的で使用できる場所をあつかっていて,その会社は WBS でもとりあげられていた. 説明会じたいが 1 時間の予定なので,前後あわせて 2 時間借りて 4000 円弱だ. 参加者はほぼ 14 人,ちょっと手狭で,サンプルやデモをちかづいて見てもらうこともできなかった. もうすこしひろい場所のほうがよかったが,新宿にはちょうどよい場所がみあたらなかった.
事前説明会では MacBook と大型ディスプレイをつかったプレゼンテーションを中心にしたが,さまざまな模様がついた LED キャンドルや 3D デザイン電球などのサンプルをテーブルに置き,さらに,もちこんだ 3D プリンタでの印刷実演もおこなった. これまでは実演の際に Windows PC をつかっていたが,今回は 3D プリンタ (Kossel) に SD カードをさして印刷することをこころみた. PC をつながないと準備の部分はやりづらいが,そこもくふうすれば,SD カードだけでかなりのことができるだろう. ビデオもみせたが,実演のほうがビデオではわからない全体をみることができる. そのかわり,今回のように参加者が移動できないときは,印刷のようすをちかづいて見ることはできない. 事前説明会前には参加予定者全員に to でメイルをおくってしまったためにちょっとしたトラブルもあったが,おおきな問題にはならなかった.
20 日の本番では 8 件のわくがあり,全部うまるはずだったのだが,事前のキャンセルが 2 件あったうえ,当日キャンセルが 1 件あった. しかし,そのかわり別の 1 件がはいったので,あわせて 6 件になった. そのなかには,よくあるように用途やかたちをある程度限定したモノを提案してくれるひともいた.
しかし,一方ではマーケティングを中心とするビジネス全体への提案をしてくれるひともいた. そういう提案をうけたいとかんがえていたのでエントリの資料にそう書いていたのが,うまくはまったようだ. 事前によく調査して,資料も用意してくれていた. コラボマッチの結果がどうであれ,そのデザイナとは関係をむすびたいとおもう.
さらに,アートにちかいプロダクトをつくっているひとたちと私とをつないでくれるという提案をしてくれるひともいた. こういうひとたちは「売る」ことよりもまず,おもしろいものをつくることをかんがえている. 売れっ子ではあるがライゾマティクスもかんがえていることはそれにちかいとおもう. これまでにもイベントで服を光らせたりしているデザイナとやりとりしたことがあったが,そういうアートにちかい世界もぜひやってみたいとかんがえている. よい機会をえたとおもうので,ぜひさらに話をしてみたい.
また,螺旋 3D 印刷でつくることができる,これまでにない模様やかたちに着目してくれるひともいた. しかし,まだ具体的な提案にはなっていないので,すこし時間をかけてやりとりできればよいとおもう. そういうひとには,サンプルをもちかえってもらった.
コラボマッチじたいはこれら 6 者のなかから 1 者をえらんでくれる. しかし,私としてはその 1 者だけでなく,5 者となんらかの関係をむすびたい. それらのひとたちはさまざまな方向をめざしているので,私としては整理が必要だ. もっと話をし実際に関係をむすんでみないとどうすればよいかわかってこないが,いま想定しているのは,3 つの方向を同時に探索することだ.
第 1 はこれまでの延長,つまり私が企画から販売,アフターサービスまでする商品であり,コラボレーションからえたものによって改善していくが,基本的に私自身が全部やることはかえずにいく方向だ. ここにデザイナに直接かかわってもらうとその方向が不連続にかわってしまう. 開発・製造のプロセスを大幅にかえたり,大幅な値上げしたりすることになるだろう. ほかの方向からまなんだことをとりいれつつ,この第 1 のやりかたも維持したい.
第 2 は企画からほぼ全面的にみなおす方向だ. ここにはディレクターが必要であり,さまざまな専門家がかかわる可能性がある. そうなればコストがかかるので,比較的高価なものをつくることになる. 第 1 の方向とはかなりちがうが,それらがぶつからないようにする必要がある. 継続していくためにはビジネスとして成功させる必要がある. そのためには自分の嗜好よりも顧客の嗜好を重視する必要がある.
第 3 はかならずしもビジネスにならなくてもよいから,おもいろいものをめざす方向だ. 自分がおもしろいとおもう方向とコラボレータがおもしろいとおもう方向がある程度,一致している必要がある. 第 1,第 2 の方向におけるビジネスの主体が私自身であるのに対して,この第 3 の方向では他者に依存することになるだろう. 3 つの方向のビジネスをみな私自身でまわすことができるとはおもえない.
これはあくまで現在のかんがえであり,デザイナやその周辺のひとたちと話をしていけば,かわっていくだろう. しかし,これが原点であり,コラボレーションがみなうまくいけば,たぶん基本的なところは維持されるのではないかとおもう.