Prusa による螺旋 3D 印刷の可能性をさぐるための机上検討と実験のため,まず あらためて机上検討するとともに,Prusa 同等品のキットをくみたてている. これまでにわかったことの第 1 は,机上検討によれば Prusa はデルタ型プリンタより可動部分が重く,かつ方向によって慣性に差があるため,こまかい模様の印刷に適さないとかんがえられることだ. Prusa の使用に否定的な結論だが,くみたてと実験を継続する.
Prusa (左下の写真) は現在使用している AnyCubic Kossel (右下の写真) とくらべてつぎの 2 つの理由によって螺旋 3D 印刷に適さないというのが机上検討の結論だ. 第 1 の理由は Prusa のほうがヘッドの慣性がおおきいということだが,それは印刷時にうごかす部分の質量がおおきいからだ. デルタ型プリンタでは可動部分はヘッドだけだ. エクストルーダのモータは通常は固定されているからうごかない. それに対して Prusa では x 軸方向にうごかすときはヘッドとともにそれを x 軸方向にうごかすためのロッドなどもともにうごく. さらに,Prusa ではエクストルーダ全体が x 軸方向にうごく. そのモータがもっともおもい.
一方,y 軸方向には印刷物をのせるプリント・ベッドだけがうごく. これはたぶんヘッドより軽い. しかし,印刷物はそれとともにうごくので,それがおもくなると慣性がふえる. さいわい螺旋 3D 印刷の場合は印刷物は軽いので,その質量をいれてもヘッドより軽い可能性がある.
z 軸方向はどうかというと,これは x 軸のモータまでもが可動部分にふくまれるので,とてもおもい. そもそも螺旋 3D 印刷をはじめるときに Prusa もふくめて xyz 型のプリンタを選択しなかったのは z 軸方向に軽快にうごかせないことが理由だ. ただし,デルタ型プリンタでも z 軸方向のうごきは方向が固定されたヘッドによってじゃまされるので,Prusa のこの欠点がどれだけ実際にきいてくるかは,さらに検討が必要だ.
Prusa が適さない第 2 の理由は,方向によって慣性がおおきくことなることだ. 印刷物にこまかい模様をつけるためには,慣性の方向依存性がちいさいことが必要だとかんがえられる. そうでなければ,おなじはずの模様が方向によってちがってみえることになる. とくに,螺旋をえがきながら模様をつけるから,x 軸方向と y 軸方向とのちがいは致命的になりかねない. デルタ型プリンタではどの軸の移動にもおなじ機構を使用するので慣性にも差がない. それに対して Prusa では軸ごとにまったくことなる機構を使用する. x 軸方向にはヘッドとその周辺のものが移動するのに対して,y 軸方向にはプリント・ベッドが移動するので,慣性はまったくことなる. さらに,y 軸方向の慣性は印刷物に依存するので,印刷中に変化する. z 軸方向の慣性はさらにおおきいが,それについてはすでに書いたようにさらに検討が必要だ.
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