太陽光発電をはじめて 4 月で 10 年になり,東京電力への売電価格が急激にさがる. そのため,発電した電力のつかいかたの再検討が必要になった. そのつかいかたは何通りかあり,そのなかには自家消費がある. 自家消費のための方法はいろいろ提案されているので,それもふくめてつかいかたを比較検討したが,結局,自家消費せずにスマートテックに売却することにきめた.
自宅で太陽光発電をしているが,その最大出力は 9 kW だ. その電力をこれまで FIT という制度にもとづいて東京電力に 48 円/kWh で売ってきたが,FIT の終了後も東電との契約をつづけるとこれが 8.5 円/kWh になる. 東電から買う契約は「電化上手」というものだ. 夜間はやすいがそれでも 12.48 円/kWh なので,8.5 円/kWh よりはだいぶたかい. だから,発電した電力をすべて自家消費するというのが有力な選択肢となる.
おもな自家消費の方法はつぎの 2 つだ.
- 専用電池 (蓄電池) または EV にためて昼間につかう.
- 昼間に給湯器の湯沸かしにつかう.
第 1 の方法のために EV をつかうことは,一昨年にくるまを買いかえるときにすでにかんがえていた. しかし,そのためには EV の電池容量がかなりおおきくなければならないし,太陽光発電の電力を変換して EV におくる設備が必要だ. しかし,この選択肢はとらなかった. その理由は 2 つある. 第 1 の理由は,くるまは EV にしたがアイミーブという電池容量のちいさいくるまを選択したことだ. これでは晴れた日の発電量をためるにはまったくたりない. 第 2 の理由は,発電電力を EV におくる設備が高価 (数 10 万円以上) だということだ.
専用の電池をつかうこともかんがえたが,電池じたいもまだ高価なのにながくはもたないので,かえってたかくつくのでやめた. 電池の価格は 100 万円以上,それが 10 年以下しかもたない. したがって,この選択肢も棄却した. 東電と契約をつづけるとしたら蓄電することで約 4 円/kWh (12.48 − 8.5) だけ利益がでるが,これでは大赤字になる. あとで書くように 11.5 円/kWh で売電できるところもあるから,そうすると利益は約 1 円/kWh にしかならない. これは電池に投資すると確実に損をするということだ. だからあまりおこりそうにないことではあるが,将来これで黒字がでるようになれば,そのときに再度みなおしてこの選択肢をとるようにすればよい. (2020-12-17 追記: ここでは昼にためて夜間につかうことだけをかんがえたが,朝夕は発電量がすくないので蓄電してつかう利点がある.これについては別の機会にかんがえる.)
第 2 の方法についていうと,湯沸かしを発電した電力でおこなうようにすれば,夜間に沸かすよりやすくなる. 太陽光発電を導入すると同時にエコキュートもいれているので,その時計をずらせばよいということだ. しかし,時計をずらすと雨の日などにも昼間に沸かすことになり,高価な電力をつかってしまう. だから,自家消費しない方法とあわせて検討する必要がある.
自家消費しないとすると,発電した電力の売却先をえらぶことが重要になる. 売買をおなじ会社にしなければならないかとかんがえていたが,しらべてみると売電だけで東電よりたかい価格を提示している会社もあることがわかった. その代表格がスマートテックだ. この会社は 11.5 円/kWh で買ってくれる. おなじ会社に売買すればもっとたかく買ってくれるところもあるが,買値はいまよりたかくなるのでひきあわない. だから,東電から買い続けて,売電だけスマートテックにするのがよいとかんがえた. エコキュートを夜間につかうと 12.48 円/kW であり,晴れた昼間につかうと 11.5/kWh だから,これならエコキュートの設定をかえずにつかえばよさそうだ. 雨の日にも昼間につかうと平均で 12.48 円/kW 以下にはならないだろうから,自家消費はかんがえずに売電するときめた.
自家消費しないことにきめた理由はもうひとつある. 東電との買電契約では電力価格は昼間のほうが 3 倍ちかくたかい. つまり,電力の価値は昼間のほうがたかいということだ. 電池にためたりエコキュートでつかったりすると,その価値を捨ててしまっていることになる. 太陽光発電をはじめたころには,数年後にはそれが普及して東電に売れなくなるのではないか (つまり昼間の電力の価値がさがるのではないか) と心配していたが,そういうことはおこっていない. 地方では電力会社が買い取りを拒否することが実際におこっているが,東京ではそういうことはおこっていない. いまでも電力の価値は昼間のほうがたかい. だから,その価値をいかしてくれるであろう会社に売却するほうがよいとかんがえた.