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HDR の限界と照明による対策 -- 3D デザインランプの場合

3D デザインランプをきれいにみせる写真をとるため,ダイナミック・レンジを拡大する HDR (high dynamic range) の技術とそれを圧縮する tone mapping の技術とをしらべ,適用してきた. 写真の世界では HDR ということばが強調されているが,実は紙やディスプレイで表現するにはいかにダイナミック・レンジを圧縮するかつまり tone mapping のほうがより重要だ. ところが,ダイナミック・レンジを圧縮するということはコントラストをさげるということであり,単純な方法では写真の印象をよわめることになるから,やめたほうがよいという結論にいたった.

3D デザインランプの写真の表現力をたかめ,みばえのよいものにするために,ひろい意味での HDR の技術をつかっているが,あまりうまくいっているとはいえない. いわゆる HDR は写真の印象をつよめるためにつかわれている. そのために,さまざまな方法がつかわれている. 3D デザインランプの写真でも,部分ごとにことなる処理をすれば,印象をつよめることは可能だろう. しかし,そのためにはさまざまな tone mapping の方法のなかから適当なものをみつけ,適当なパラメタを選択しなければならない. これまでためしたかぎりでは,あまり適切な方法やパラメタはみつかっていない. その結果,最近使用している方法はガンマ・カープを調整するという全域的で比較的手間がかからない方法になっている. ところが,この方法では写真の印象がよわくなってしまう.

Tone mapping によって写真の印象がよわくなってしまう理由は,全域的な tone mapping の方法ではダイナミック・レンジが圧縮されて,コントラストが低下するためだとかんがえられる. 3D デザインランプの写真においては非常に明るい電球のコントラストをいかすとともに,壁などの暗い部分をあかるくする必要がある. すると,それらの中間の部分はダイナミック・レンジをかなり圧縮せざるをえない. つまり,コントラストを低下させざるをえない. 通常の写真で重視される明るさが中くらいの部分でコントラストを低下されるため,写真の印象はよわまってしまう.

写真を魅力的にみせるにはどうすればよいだろうか? 結論をいえば,被写体としてでなく写真用つまり道具としての照明器具を使用して,HDR や tone mapping に (強くは) たよらない方法をとる必要があるということだとおもう. つまり,部分ごとにことなる処理をしないのであれば,それを防止するには tone mapping をやめる,もしくはよわめるしかない. Tone mapping をやめることはできないだろうが,よわめるためには 3D デザインランプの周囲をあかるく照明するしかない. それによってダイナミック・レンジはせばまり,圧縮によるコントラストの低下をふせぐことができる. つまり,3D デザインランプが実際につかわれるような照明条件で写真をとることをあきらめて,写真用の照明をしなければならないということだ. プロの写真家ならはじめからそういう照明を用意したのだろう. しかし,これまで,できるだけ簡易に写真をとって,簡易に処理することをかんがえてきたため,写真用の照明器具はつかってこなかった. それがいま必要になったということだ. 高価な器具を買うつもりはないので,テープライトをつかった自作の器具で対応しようとかんがえている. その器具とそれをつかった写真については,またあらためて書くことにしたい.

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