直径 10 cm 以上の 3D デザイン電球には,E26 の口金がついた LED 本体と電球カバー (ランプシェード) とをつなぐアダプタをつけている. このアダプタの 3D 印刷に使用しているプラットフォーム・シートを交換したところ,アダプタが完成するまえにはがれることがくりかえされた. しかし,1 時間くらい試行錯誤をくりかえして,ようやく対策できた.
アダプタも螺旋 3D 印刷によってつくっているが,熱につよい必要があるので ABS を使用している. アダプタは Aokin ブランドのポリカーボネート製の印刷プラットフォーム・シート上で常温で印刷している.つまり,プリントベッドは加熱していない. ABS の印刷では raft とよばれる支持体をまず印刷してから本体を印刷することが多い. しかし,raft の印刷は時間がかかるし本体からはがす手間がかかるので,それもつかっていない. これでアダプタ 1 個が 7 分くらいで印刷できるが,これまではこの方法でうまく印刷できてきた.
ところが,これまでつかってきたシートをあたらしいものに交換したところ,印刷中にアダプタがシートからすぐはがれるようになった. 交換したのは,これまでのシートが穴だらけになったためだ. はがれた原因はプラットフォームに凹凸がすくない (つるつるしている) ためだとかんがえられる. 別の 3D プリンタについてきたプラットフォーム (リニアスケールの AnyCubic Kossel についてきたもの) は凹凸がおおきくて問題がおこったことがなかった.しかし,それとくらべると Aokin のものは凹凸がすくないのではがれやすいのだとかんがえられる.
何回か,対策をしてはためしに印刷するという試行錯誤をくりかえしたが,なかなかうまくいかなかった. 最初はスティックのりをぬってみた.以前はそれで効果があったし,いまでもいろいろな目的でスティックのりを使用している.しかし,今回はそれでは効果がなかった. つぎに,カッターでプラットフォームにこまかいきずをつけてみたが,ヘッドがこするときずがきえてしまって効果がなかった.
そこで,アダプタの印刷速度を 1/10 くらいにし,ヘッドがプラットフォームに 0.2 mm くらいめりこむようにして,すこしだけ印刷してみた. つまり,プラットフォームをとかして,きずをつけてみた. ほんとうはアダプタの G コード (印刷データ) をつかうかわりにプラットフォーム全面にきずをつけるような G コードを用意したほうがよいだろうが,臨時にアダプタの G コードをつくりかえて,つかってみたわけだ. 下の写真がきずつけたあとのプラットフォームだ.
これは効果があった. その後,普通の状態にもどして印刷すると,印刷物プラットフォームにしっかり,くっつくようになった. 場合によってははがれにくくなったので,すこしヘッドの高さを調整して,圧力が適切になるようにした. これで当分はこのシートでうまく印刷できるだろう.