電球カバーや 3D デザイン電球のアダプタ (白または黒の部分) には,これまで白さがひきたつ ABS フィラメントをつかってきたが,こわれやすいという問題があった.どの ABS フィラメントでも同様に発生する問題だとおもっていたのだが,そうでないことがわかって,ちがう種類のフィラメントをつかうことにした. あわせて,接着を強化しようとかんがえて印刷時にドライヤで熱風をかける実験をしてみたが,こちらは失敗した.
「電球カバーの不良部品 (キャップ) の交換」というブログ記事に電球カバーで発生した不良の問題を書いた.アダプタを製造する際の印刷速度や周囲温度などをかなりせまい範囲におさめないと,フィラメントどうしがしっかり接着しなくなるために発生した問題だ.不良品をできるだけさけるために,最近はキャップの裏側を ABS 用の接着剤 KS-2000 で補強してからつかうようにしていた.
しかし,ためしにほかの ABS フィラメント (SUNLU の白色フィラメント など) をつかってみると,もっとひろい範囲でフィラメントどうしがつよく接着することがわかった. つまり,印刷速度をはやくしてもかたちがくずれにくく,またおそくしても接着があまりよわくならないということだ. 白さは劣っているのだが,不良品のすくなさにはかえられない.フィラメントの種類を変更することにした.下の写真の左があたらしいアダプタ,右がふるいアダプタだ.左の方がやや透明感があって,光をとおしやすいことがわかる.
3D デザイン電球のほうが問題はおこりにくいのだが,おこりうることにかわりはないので,こちらもおなじ種類のフィラメントをつかうようにした.
フィラメントをかえれば問題が解決できることがわかるまえに,もうひとつべつの案をかんがえていた. それは,印刷時に熱風をあてれば接着強度が増すのではないかということだ. ABS に関してはプリントベッドの温度を 100℃ 前後にすることが推奨されている. 印刷物が変形するのをさけるというのがそのおもな目的だとかんがえられるが,接着強度にも関係するのではないかとかんがえた. Stratasys などの 3D プリンタにおいては印刷する際に周囲温度を高温にするようになっているが,それを実現するには予熱に時間がかかるなどの問題があるから実現困難だ. かわりにヘヤドライヤで熱風をあてればよいのではないかとかんがえた. ヘヤドライヤの風の温度は 110〜120℃ だという.それでちょうどよいのではないかとかんがえた.
SUNLU のフィラメントでためしてみた.風がない状態で十分な強度がえられる速度で印刷し,Panasonic のドライヤの風をあててみた. 予想に反して,フィラメントは接着しなくなった. つまり 110℃ では温度がひくすぎるということだ. 周囲の空気をまきこんでいるから 110℃ よりはひくくなっていたかもしれないが,ドライヤをできるだけちかづけたから,それほど温度がさがっていたとはかんがえられない. 強風をおくるなら,おそらく 200℃ ちかい温度である必要があるのだろう. ドライヤでは実現困難なので,とりあえずはあきらめた.
(この記事の一部は 3D デザインランプ ブログの「ABS フィラメント交換で電球カバーや 3D デザイン電球の信頼性が上がった」という記事にもとづいている.)