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歴史:戦争, 政治・法律・憲法

ウクライナ危機で日本は「戦争の放棄」を放棄した !?

ロシアのウクライナ侵略ではじまった戦争にアメリカをはじめとする NATO 各国は兵器の供与や経済制裁というかたちで参戦している. 日本は憲法上,兵器を供与することはできないが,経済制裁に参加し,防衛装備品を供与している. つまり,「連合国」の一員となってこの「第 3 次世界大戦」に参戦しているということだとおもう. それは,違憲にならないかたちで戦争の放棄を放棄したということだとおもえる.

兵員をウクライナに派遣したり,ロシア軍を兵器によって直接攻撃しなければ,参戦したことにならないといえるのだろうか? たとえばアメリカは「カミカゼ」の異名をもつドローンをウクライナに供与することをきめたという. 太平洋戦争時には神風には人間がのらなければ攻撃することができなかった. しかし,ドローンは人間をのせなくても神風以上のはたらきをさせることができる. それをウクライナに供与することは操縦士つきの神風を提供するのとおなじではないか?! 日本は偵察に使用できる民生品のドローンを供与したという. これは兵器ではないが,操縦士つきの偵察機を提供するのとおなじではないか?! 経済制裁に関してはこのように古典的な兵器と対応づけるのはむずかしいが,サイバー兵器もふくめて,従来の兵器とのあいだに明確な境界線があるわけではないだろう. そうであるならば,これらの行為と参戦とのあいだにも明確な境界線があるわけではないだろう.

日本国憲法では武力の使用を禁じ,それを「戦争の放棄」と称しているが,このような武力によらない戦争あるいは武力を直接は行使しない戦争は放棄していない. つまり,憲法が禁止していない戦争が現在では可能になっていて,もはや憲法第 9 条はかならずしも現代の戦争を禁止していないのだとおもえる. もちろん憲法第 9 条があるかぎり武力による戦争には直接参加できないが,これまでも後方支援には参加してきたし,いまや武力以外の戦争手段を行使するようになっている. 憲法第 9 条に関する議論においては,このこともかんがえるべきだろう.

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