コロナ禍からぬけだそうとしている世界を急激なインフレがおそい,ロシアのウクライナ侵略戦争がそれに拍車をかけている. 日本もこのインフレからのがれることはできないとかんがえられ,「悪いインフレ」といわれている. しかし,日本人にとってこのインフレは長期にわたるデフレマインドからのがれる絶好の機会であり,日本の再生につながるものだとおもわれる.
米国などではすでに消費者物価が急上昇して金利も急速にあがっている. ところが,日本では卸売物価が急上昇しているにもかかわらず消費者物価はわずかしかあがっていない. そのため,米国などでは賃金も上昇しているのに,日本では企業収益が悪化して賃金がおさえられている. この米国と日本とのちがいの最大の原因は,日本では 1990 年代以降デフレがつづき,それがおさまったいまでも物価上昇をうけいれないデフレマインドからぬけだせないことにあるとかんがえられる.
物価が上昇するとき,デフレの状態では買いびかえるのが有効だ. デフレのときは時間がたつとモノよりカネのほうが価値があがるからだ. しかし,インフレのときはモノをはやく買うほうが有利だ. カネのままもっていると価値がさがってしまうからだ. それにもかかわらずひとびとがカネをつかおうとしないのが日本の現在の状態だ. 賃金があがらないからカネがなくてつかえないというかもしれないが,インフレでしかも金利がひくいときにはカネを借りてでもつかうほうが有利だ.
これまで日本人はデフレマインドからぬけだせないがゆえに物価も賃金もあげられなかった. つまり,デフレを継続させてきた. しかし,現在のいやおうなしのインフレは日本人をかならずやデフレマインドからぬけださせる. それまでの過程では混乱もあるだろうが,デフレマインドからぬけだせば世界の物価に連動して日本の物価もあげられるし,賃金もあげられるようになるはずだ. それは日本を長期低迷状態からぬけださせるチャンスだ.