わが家への ISDN 導入時の電話のトラブルとその対策
この報告は金田が
家庭に ISDN を導入したときにおこったトラブルと対策などに関するノートです.
Created: 96-2-5, Modified: 96-3-13.
概要
わが家では,これまで 1 回線の電話を会話用とモデム用に共用していた.その
ため夜間は緊急電話がつながらないおそれがあり,アナログ電話を ISDN に
かえることによって 2 チャンネル確保し,あわせてインターネット通信の
速度をあげようとかんがえた.
そこで,まず '95 年 12 月末に秋葉原の T-Zone で Macintosh 用の MN128 (NTT
TE 東京のターミナル・アダプタ) を買ってきた.同時に ISDN の仮もうしこみ書
を記入して,1 月なかばに電話で NTT とうちあわせして,1 月 23 日にきりかえを
おこなった.簡易交換機を設置していることなどの理由から,屋内配線工事は
NTT にはたのまないことにした.21 日から工事の準備をはじめて 23 日には一応
きりかえることができたが,トラブルがなくなったのは 2 月はじめだった.
結果としてえられた MN128 の設定はここ
に書いてある.
機器の構成など
MN128 には非同期のディジタルポート 1 個 (64k 同期からの変換機能あり) と
アナログポート 2 個がある.これらをつぎのように接続する.
- アナログポート 1: 回線番号をわりあて
(下記参照).
簡易交換機 1 台 -- ここから,つぎの機器に接続.
- 電話機 3 台 (うち 1 台がるすばん電話用)
- ドアホン
- アナログポート 2: ダイアルイン番号をわりあて.
(下記参照).つぎの機器に接続.
- モデム 1 台
- Fax 1 台 (電話もうけられるが fax 専用にする)
- ディジタルポート : つぎの 2 台のコンピュータにきりかえて接続.
- PC AT 互換機 (Pentium 100 MHz)
- Power Macintosh 6100/60
(図があるとわかりやすいのですが,さぼっています _o_)
回線番号のほかにダイアルイン番号 1 本を契約している.
グローバル着信ありの設定のつもりだったが,NTT にはっきりそのように
いっていなかったため,この時点では実際にはダイアルイン番号が 2 本で
グローバル着信なしの設定になっていた.ダイアルイン番号 1 を
アナログポート 1 にわりあて,ダイアルイン番号 2 をアナログポート 2 に
わりあてる.これで,モデムをつかっているときには fax は送受信できないが,
電話は送受信できる.パソコンを INS で接続しているときには,もちろん電話
または fax のどちらも (ただし一方だけ) つかうことができる.
準備工事
23 日は平日であるため,夜間しか作業できない.そのため,当日はモジュラプラグの
さしかえだけですむように,あらかじめ工事をする必要があった.電気屋に工事を
依頼し,20 日におこなう予定だったが,電気屋のつごうがわるくなり,22 日に変更
された.すでにある隠蔽配線だけでできるように,あらかじめ配線法をかんがえてあっ
たが,当日作業にかかったところ電話の配線がこちらでかんがえていたのとはちがっ
ていて,その方法ではうまくいかないことがわかった.電気屋をかえして再検討し,
東急ハンズで線材などを購入して自分で露出配線をおこなった.
エピソード :
- 東急ハンズで 2 芯線を買うはずだったのが,まちがえて 4 芯線を買ってしまっ
た.これでもまにあうが,適切とはいえないだろう.ただ,あとで DSU のとりつけ
位置をもしかえる必要が生じたら,この線を ISDN のバスとしてつかうことができる
ので,あとでやはり 4 芯を買ってよかったということになるかもしれない.
- この工事で,電話線を異常に (?!) 長くひきまわすことになってしまった.その
ためかどうかわからないが,本工事後に 3 台の電話機のうち交換機からの距離が
とおい 2 台をテストしたところ,ラジオのような音がきこえることがわかった.
もしプロだったら,あってはならないことである.
本工事
22 日には壁のモジュラジャックから直接交換機に配線していたが,23 日に
モジュラプラグをさしかえて,DSU および TA をとおすようにした.
TA を Mac に接続すると安定して動作しなかったが,
AT 互換機に接続することができなかった
ので,やむなく Mac の端末ソフトによって設定をおこなった.これで一応動作を
確認した.(しかし,きちんとした動作テストをおこなっていなかったため,あとで
問題を生じた.)
このときにおこなったアナログ機器のためのおもな設定はつぎのとおりである.
(実際にはこのとおりになっていなかった可能性がある ?!)
- AT@E1=0 AT@E2=3 : アナログポート 1 には電話,ポート 2 には無音 fax
を接続.
- AT@G1=3 AT@G2=3 : 最後のダイヤルがおされてから発信までを 3 秒にする
(標準は 5 秒).
- AT@I1=xxxx-xxxx : ダイアルイン番号の設定 (xxxx-xxxx に (回線番号では
ない) ダイアルイン番号がはいる.
- AT@K0=1 AT@K1=2 : ダイアルイン番号はポート 2 にだけ着信するようにし,
それ以外 (回線番号のつもり) はポート 1 にだけ着信するようにする.
その後数日は上記の状態のままだったが,数日後,電話につなごうとしたのに fax
にかかってしまうという事故が報告されたので,再設定をおこなった.
しかし,この再設定後もまだただしい
設定がおこなわれていなかった.ただしい設定がわかったのは 2 月はじめになって
からである.
このとき修正した設定はつぎのとおりである.(ダイアルイン番号が 2 本の
ばあいにはこれがより適切な設定だとおもわれるが,この時点でただしく動作
しなかった理由はほかにあるとかんがえられる.以下のような変更が必須だっ
たとはかんがえられない.)
- AT@I1=yyyy-yyyy AT@I2=xxxx-xxxx : ダイアルイン番号の
設定 (yyyy-yyyy がダイアルイン番号 1,xxxx-xxxx がダイアルイン番号 2).
- AT@K0=0 AT@K1=1 AT@K2=2 : ダイアルイン番号 1 はポート 1,ダイアルイン
番号 2 はポート 2 にだけ着信するが,それ以外がもしかかってくれば
(この契約では番号は 2 本だけなので,それはありえないが) 着信しない.
- AT@B : アナログ機器の設定をフラッシュ・メモリに保存する.まえの
2 件の再設定をおこなったあともこれをやっていなかったので,電源をおとすと
設定がきえて,以前とおなじ状況になっていた.メモリに保存することによって,
やっと MN128 の電源を off-on しても,ただしい設定がなされるようになった.
はなし中にならないという問題とその解決
深刻な問題は解決されたが,まだ不都合な点がのこっていた.それは,電話が
はなし中にならないということである.つまり,電話を使用中にその番号にほかの
ひとが電話してくると,しばらくまたされてから「あなたのおかけになった番号
にはあなたと通信できる機器が接続されていません」というメッセージがながれる.
これがはなし中という意味だとは,事情をしらないひとにはわからないだろう.
複数の TA が接続されているときのために,接続された機器がつかえなくても
MN128 は busy 信号をださないように設計されているからだという.しかし,
それでも本来ははなし中にするようにできるはずで,そうなっていないのは,
fj.net.isdnの議論によれば MN128
のファームウェアのせいだという.
2 月 10 日に MN128 のためのあたらしいファームウェアを
「MN128 の部屋」
からロードしてきていれかえたところ,ただしく,はなし中になるように
なった.
ダイアルイン番号を追加したことによる出費増は 900 円の予定だったが,
請求書をうけとって,1800 円かかっていることがわかった.グローバル着信
ありの設定にしてほしいということを NTT にはっきりいわなかったために
このようなことになった (その点について説明しなかった NTT に責任がある
といえるが,ISDN の設定の複雑さをかんがえるとやむをえない面もあると
かんがえられる.) NTT に電話したところ,最初に応対にでたひとはグローバル
着信ありに変更することによって工事費がかかるといったが,NTT に落度が
あることを指摘した.あとで担当者から連絡があり,「なし」から「あり」
への変更にかぎっては工事費はいらないということだった.したがって,被害
は 900 円だけですんだ.
この契約変更によって,「デバッグ」の項に書いた
TA の設定ではまずくなった.「本工事」の項に書いた
設定をおこなった.今回は,局内工事のまえもあともこれでただしく動作した
ので,「本工事」のときにおこなった設定はどこかがこのとおりになっていな
かったのだとかんがえられる.
なお,MN128 にこの設定をおこなう
ための Linux によるスクリプトがある.実際,現在はこのスクリプトに
よる設定で問題なく使用できている.
関連ページ :
[Linux と Macintosh への ISDN
接続に関する報告],
[Linuxによる ISDN
接続のためのスクリプト],
[電話と Fax をつなぐための MN128 の設定],
[Computer Communication and Network
-- A Subject Catalogue],
[この件に関するニュースへの投稿記事]
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