NGN (次世代ネットワーク) は従来の電話網やインターネットにないおおくの特徴をもつあたらしいネットワークである. これらの特徴すなわちパケットベースであること,端点間 QoS 保証をおこなうこと,固定網と移動網の融合 (FMC) をはかること,中心的なプロトコルとして SIP を採用していること,3GPP の IMS を基本としていることについて,それぞれかんたんに説明する.
NGN のおもな特徴として,つぎのような項目がある.
- パケットベース
- 回線交換を核とした従来の電話網とはちがって,パケット交換を全面的に採用する. さらに,すべてを IP にのせる (All IP ネットワークとする).
- 端点間 QoS 保証
- ネットワークの品質や端末の能力に応じて,端点間 (end-to-end) で QoS 保証ができるようにする. 電話網においてはこれは必須の項目とかんがえられていたが,IP ネットワークにおいては困難だった. NGN においては IP ネットワーク上で端点間の QoS 保証を実現しようとしている. そのために将来は最近の研究成果 (Stoica の Stateless Core など) にもとづいてコア・ネットワークの混雑時にも保証を実現することがのぞましいが,当面はコア・ネットワークがいちじるしく混雑していないことを前提として検討をすすめていけばよいとかんがえられる.
- 固定網と移動網の融合 (FMC)
- 汎用的なモビリティとユビキタスネスを重視し,固定網と移動網とのあいだでシームレスなサービスを提供できるようにする. すなわち,いわゆる FMC (fixed mobile convergence) を実現する.
- 中心的なプロトコルとして SIP を採用
- プロトコルとして SIP (Session Initiation Protocol) を使用することによって,音声だけでなくデータ,映像などを使用した柔軟なマルチメディア・サービスを提供できるようにする.
- 3GPP の IMS を基本
- マルチメディア・サービスのためのネットワーク・アーキテクチャとして,3GPP が規定した IMS (IP Multimedia Subsystem) を採用している.
IMS は SIP およびその関連プロトコルを使用して電話の基本サービス,マルチメディアサービス,QoS,ローミングの各機能を実現する点に特徴がある.
これ以外の特徴としては,転送機能と制御機能とを分離したこと,サービス機能と転送機能との独立・連携,多様なアクセス網のサポートすること,緊急通信や合法的盗聴などの機能をもうけていることなどがある.