QoS 保証のために導入されるネットワーク機能についてのべる. ただし,これはバックボーン網の機能ではなく,端点間の QoS 保証のためにおもにアクセス網側に必要な機能であり,バックボーン網との関係については ??? においてのべる.
QoS 保証において中心的なやくわりをはたすのは RACS (TISPAN の用語. ITU-T では RACF という) である. TISPAN できめられた RACS を中心とする網 (固定網) の構造を図 1 に引用する (ETSI [ETS 06d], Figure 2). この図のアーキテクチャにおいては IP 網のエッジノード (図の "IP Edge") はアクセス網と一体的に制御され,他の網との境界にコアノード (図の "Core Border Node") がある.BGF はマーキング,フローごとの資源わりあて,NAT,ポリシング,計測などの機能をもっている.
図 1 NGN における QoS 保証のための機能
RACS はつぎの 2 つの要素をふくんでいる [ETS 06f].
- SPDF (SPDF, Service-based Policy Definition Function) または PDF
- ネットワーク・オペレータによって定義されたポリシー規則を内蔵し,AF からの要求をうけてそれがそのポリシー規則にあうかどうかをしらべ,あっていれば A-RACF や BGF に資源要求をおくる. IETF の用語では PDP に相当する.
- A-RACF (Access-Resource and Admission Control Function)
- RCEF (PEP) を介して IP エッジ (ルータ) を制御する. 主要な機能はアドミッション制御 (AC) とネットワーク・ポリシー集約 (NPA) である. NPA とは,1 個の A-RACF は複数個の SPDF からの要求をうけるので,それらを集約して利用可能な資源にあわせることをいう. すなわち,A-RACF は RCEF に配布するべきポリシーの調停をおこなう.
図 2 [ETS 05] は図 1 の各機能をふくみ,よりひろい範囲を記述した図である. この図においては xDSL網 (Access Transport Network) とそれに接続される IP ネットワーク (Core Transport Network) を記述しているが,図 1 より網のイメージが明確に記述されているといえるだろう. この図においてはアクセス網とコア網の RACS が分離してえがかれている点が図 1 とはことなっている. これにともなって BGF もアクセス網とコア網とをつなぐ C-BGF と,コア網どうしをつなぐ I-BGF とに分離されている.
図 2 NGN におけるネットワークの構造
参考文献
- [ETS 05] ETSI, “Telecommunications and Internet Converged Services and Protocols for Advanced Networking (TISPAN); NGN Functional Architecture Release 1”, ETSI ES 282 001, V1.1.1, June 2005.
- [ETS 06d] ETSI, “Telecommunications and Internet Converged Services and Protocols for Advanced Networking (TISPAN); IP Multimedia Call Control Protocol based on Session Initiation Protocol (SIP) and Session Description Protocol (SDP) Stage 3”, ETSI ES 283 003, V1.1.1, April 2006.
- [ETS 06f] ETSI, “Telecommunications and Internet Converged Services and Protocols for Advanced Networking (TISPAN); Resource and Admission Control Sub-system (RACS); Functional Architecture”, ETSI ES 282 003 V1.1.1, March 2006.