閉鎖型コミュニケーションについて,とくに (広義の) 会議について,おもに文献にもとづいて分析する. 会議をとくにとりあげる理由は,それがビジネスコミュニケーションのなかで非常に重要なものだと認識されているからである.
1. 分析に使用した文献
分析の材料は閉鎖型コミュニケーションについての文献であり,ここで使用するのはほとんど “会議” やそれに類するあつまりに関して書かれた書籍である. “会議” については多数の書籍が出版されている. そのなかで,ここではつぎの文献を使用している.1
安達 勉 他 [Ada 97], Doyle, M. and Straus, D. [Doy 76], 二木 絃三 [Fut 02], 岩下 貢 [Iwa 03], Jay, R. [Jay 01], Harvard Business Review, ed. [Har 02], 八幡 紕芦史 [Yah 98], 博報堂 HOW プロジェクト [Hak 03], Keiffer, G. D. [Kie 88], 奥出 直人 [Oku 03], 中野 民夫 [Nak 01], 西村 克己 [Nis 04b], 齋藤 孝 [Sai 02], 吉田 新一郎 [Yos 00], Snair, S. [Sna 03], 西 等 [Nis 04a].これらの文献のおおくは実践的なものであり,会議の改善や改革についてのべられている. ただし,そこでつかわれている “会議” ということばの意味はそれぞれことなっているし,かならずしもその意味は明確にされていない. ここでは必要に応じてその意味を明確にすることをこころみるが,基本的にはもとの文献に書かれているままで使用する.
1 会議をどう改善あるいは改革するかという課題はふるくからのものであるはずだが,ここにリストされた書籍は 4 冊をのぞいて 2000 年以降に出版されたものである. ふるい本のなかには絶版になったものもおおく,現在入手しやすい本をえらぶと最近の本ばかりになるが,過去の書籍からもまなぶべきだとかんがえられる. Snair [Sna 03] をはじめとして米国などで出版された書籍も多数あるが,日本のものはもちろん,米国で出版された本も実践的な内容のものは大半がページ数が 100 ~ 300 であり,米国の書籍としてはうすいものがおおいことが特徴的である.
2. 会議の問題点
上記のような会議に関する書籍においてえがかれた会議のおもな問題点 (会議がもつわるいイメージ) はつぎのとおりである.
- 1. 時間をうばう不毛な会議がおおい [Sai 02]
- 「会議など益もないかわりに大した害があるわけでもない」 とかんがえられているが,実はおおくの会議は 「有害無益」 である [Kie 88]. 「会議は退屈,会議は無意味,会議は時間の無駄」,「何も話し合わない,何も決められない,何も実行されない」 [Yah 98]. 不毛な理由として,「自分のもっている能力が 100 だとしますと,そのうちの 10 以下しかつかわなくとも,その会議には参加できてしまう」 [Sai 02] ことがあげられている. より具体的な指摘としては,「レジュメを目で追うよりもっと遅い速度で説明を聞かなければいけない」 ことがあげられている [Sai 02]. 「脳ミソまでが腐ってくる感じ」 がするという [Sai 02]. 不毛さをうめあわせるために,「みんな別のことをかんがえたり,会議とは無関係なこと [内職] をする」 [Sai 02].
- 2. 不完全燃焼感
- 会議にたくさんあつまればあつまるほど生産性がひくくなる. 30 人ほどの会議においては,2 時間ほどの会議のなかで 1 人あたりの発言時間は 1 分くらいしかとれない. それが不完全燃焼感につながる [Sai 02].
ここには典型的な表現だけを引用したが,上記の書籍の大半において,現実におこなわれているビジネス目的の会議は,単に内容だけでなく,スタイルにおいても改善もしくは改革されるべきものだとされている.
上記のようなわるいイメージをうみだす原因はいろいろある. しかし,そのなかで,両方のイメージにかかわり,かつ会議の内容をいくら改善しても現在の会議のスタイルをかえないかぎりかえられないとかんがえられる本質的な原因として,会議においては全員がひとつの場所にあつまり,そのなかでコンテクストがひとつしかゆるされない,すなわち同時に 2 人以上が発言することができないということがあげられる. 一方的な情報伝達や報告のばあいはこれは問題にはならないが,報告型会議においても質疑の際には,質問したいのに他に質問者が多数いるためにできないということが不満の原因になる. 意思決定を目的とする会議においては,これはさらにおおきな問題になる.
3. 会議に関する 3 つのとらえかた
前記の文献における会議のとらえかたは,つぎのように 3 分類することができる.
- 1. 改善型
- 企業などにおいて現在おこなわれているスタイルの会議は基本的には必要なものであるが,その運営方法や開催頻度等において問題があるので改善するべきだとかんがえている. 安達ら [Ada 97],Jay [Jay 01], 二木 [Fut 02], Harvard Business Review [Har 02] などがここに分類される. そこで改善するべき点として指摘されているのは,目的の明確化,十分な準備,時間どおりに開始し時間どおりに終了すること,議事録等によるアウトプットの明確化,参加者を最低限にしぼること (15 人以下にする) などの必要性である.
- 2. 改革型
- 企業などにおいて現在おこなわれている会議はそのスタイルが適切でないことがおおく,ことなるスタイルの “会議” をひろめるべきだとかんがえている. このようなあたらしいスタイルの “会議” は,しばしばワークショップという名前でよばれている1. ワークショップについては 4.6 節において説明する. 博報堂 HOW プロジェクト [Hak 03],奥出 [Oku 03],中野 [Nak 01],齋藤 [Sai 02],西村 [Nis 04b],吉田 [Yos 00] などがここに分類される. 吉田 [Yos 00] は問題の分析や解決策をみつけるために古典的な会議の形式ではなく 4 ~ 5 人 (ずつ) の小グループによるブレイン・ストーミングをすすめている.
- 3. 破壊型 (予定調和型)
- 会議はできるだけさけるべきものだとかんがえている. Snair [Sna 03], 西 [Nis 04a] などがここに分類される. 会議がさけられないばあいもあるが,そういう会議においては結論を予測してそこに収束するように (つまり強力なリーダーシップ [Sna 03] を発揮して予定調和的に) 運営するべきだし,究極的には会議をひらかなくても想定参加者から報告書をうけとり個別の会話をかわしたりするなかで合意がとれるようにするのが最善だというかんがえかたである2. このとらえかたにおいては,会議の場で 「かんがえてはいけない」 し,「問題解決してはいけない」 [Nis 04a]3. すなわち,ブレイン・ストーミングのようなうちあわせはかんがえていない. 会議室を多数つくるのはスペースのむだなのでへらすほうがよい [Nis 04a]. また,ドラッカーは 「内部組織の会合は,組織が不完全であるということを認めるのにも等しい. というのも,会合をやれば他の仕事を犠牲にせざるをえないからだ.」 といっている [Kie 88]4.
ただし,上記の書籍のすべてが典型的にこれらの分類にあてはまるわけではなく,複数の型のスペクトルをふくんでいる. また,これらのとらえかたはかならずしも相矛盾するものではない. たとえば,破壊型においてはブレイン・ストーミングそのものを否定しているわけではないので,改革型におけるようなブレイン・ストーミングをくみあわせることは可能である.
1 ただし,「ワークショップ」 という名称がしばしばホリズム (holism) とむすびついている [Nak 01] 点に注意をはらう必要がある. それとの混同をさけるために,「ビジネス・ワークショップ」 ということばが使用されることもある.
2 西 [Nis 04] の表現によれば,「会議の場に終結した参加メンバーが,それぞれに何を支持し,いかように発言するか.すべてが描ききった棋譜のように読みとれるとき,もはや会議そのものの必要性は消滅することになります」 ということになる.
3 問題解決型の会議をすべて否定しているわけではないが,従来おこなわれてきた 「ブレインストーミング」 の大半が無意味なものだったと指摘している. Snair [Sna 03] も同様の指摘をしている.また,奥出 [Oku 03] は KJ 法は 「頭が鈍い人が集団で考えるときの方法である」 (つまり,やくにたたない) という立花隆の意見を紹介している (p. 51).
4 強力なリーダーシップによって会議を不要にするというかんがえかたは古典的ともかんがえられるが,その背景には “最新の” テクノロジーがある. すなわち 「バッカによれば,自分が会議を開かないですむのは,2 つの面でテクノロジーに助けられているからだという. 第 1 に,バーチャルな職場環境のおかげで,人びとが仕事をするときに離れていられる距離がどんどん広がっていること. 第 2 に,テクノロジーのおかげでコミュニケーションの手段が多様化するにつれ,自分に合った方法を見つける人がますます増えていること.」 [Sna 03]. ここでいう 「最新のテクノロジー」 の例としてはインスタント・メッセージング (訳本においては 「テキスト・メッセージ」),「ポケベル [pager ?],携帯電話,インターネットに接続するためのモデムを一体にしたもの」 があげられている.最新でないもののなかには e メール,ボイスメールなどがある.しかし,一方であたらしいテクノロジーには 「学習曲線」 がある (つまり習熟するのに時間がかかる) こと,それは従業員をもっとも効率よくはたらける場所からはなさないようにすることにやくだつということが容易に理解されないこと,人間味がないことに注意を喚起している (p. 190).
4. 会議の分類
上記の書籍においてはつぎのような 3 種類の分類もなされている. 第 1 は狭義の会議とミーティングへの分類であり,第 2 は会議の規模による分類であり,第 3 は目的による分類である.
4.1 会議とミーティングへの大分類
二木 [Fut 02] などによれば,広義の会議をつぎのように 2 つに分類することができる.1
- 1. 狭義の会議
- 組織の全員または代表者による公式のあつまりである2. 参加者は (代理や欠席者をのぞいては) あらかじめきめられている. 開催日時も当日のかなりまえからきめられていることがおおく,定期開催のものがおおい. 例としては課内会議,部長会,取締役会などがある.
- 2. ミーティング (会合)
- 組織とは直接関係なく参加者がきめられ,開催日時もアドホックにきめられる非公式のあつまりである. “ミーティング”,“うちあわせ” というような名前でよばれる. 会議の準備のためにひらかれる準備会合もここに属する.
1 安達ら [Ada 97] は 「会ではあるが会議ではない」 ものとして宴会,会食,パーティをあげているが,これらが広義の会議でないのは,その公式の目的がコミュニケーションでないからであろう. ただし,これらのなかで会話がなされるのはもちろんであり,裏の目的がコミュニケーションだということもある.
2 ここで “あつまり” ということばは複数のひとがひとつの場所に同時に存在することを意味している. 電話や会議システムなどのメディアを使用したあつまりのばあいは,“ひとつの場所” は仮想空間上の場所を意味していると解釈することができる.
4.2 規模による分類
文献ごとに分類はことなっているので,まず例をあげる.
- 3. Harvard Business Review [Har 02] による 3 分類
- コミティ (10 人以内,最大 12 人まで,意見発表の場),カウンシル (40 ~ 50 人,講演の聴講と質問・コメント),アセンブリー (100 人以上,一方的な聴講).
- 4. 安達ら [Ada 97] による 5 分類
- 2 ~ 3 人から多くて 5 人 (うちあわせ,ミーティングなど),主として 6 人程度 ~ 最大 10 人 (最小規模の会議),15 ~ 20 人 (公式でやや儀式的な会議),主として 50 人程度 ~ 最大 99 人 (伝達・報告が中心),100 人以上 (儀式的) に分類している.
- 5. 二木 [Fut 02] による 6 分類
- 2 ~ 4 人 (下相談,根回し,打診,商談など),5 ~ 6 人まで (うちあわせなど),10 数人まで (小規模の会議ないしミーティング),30 数人まで (本格的な会議),100 人まで (儀式的な会議),100 人以上 (伝達・報告が中心) に分類している.
これらのあいだの項目数のちがいはどの項目までを会議とみなしているかのちがいであり,境界はかなり一致しているとかんがえられる. Harvard Business Review の分類に 2 ~ 5 人のミーティングをくわえたものを基準の分類として使用することにする. すなわち,この報告においては会議をつぎのように分類する.
規模による会議の分類
- ミーティング: 2 ~ 5 人.
- 討議型会議: 6 ~ 10 人 (最大 12 人).
- 報告型会議: 13 ~ 50 人程度.
- 伝達型会議: 100 人程度 ~ それ以上.
4.3 目的による分類
これに関しても文献ごとに分類はことなっているので,まず例をあげる. 会議の目的にもとづく分類としてつぎのようなものがある.
- 1. 岩下の分類
- 岩下 [Iwa 03] はミーティングの目的を 「決定」,「調整」,「情報」 の 3 つに区別するべきだといっている.また,ミーティングの目的として 「情報収集」,「情報共有化」,「意思決定」,「説得」,「調整」,「ブレインストーミング」 をあげている. また,ミーティングをひらく動機として,情報の共有,価値の共有,目的の共有という 3 つをあげている.3 つの動機と 3 つの目的との関係は明確でない.
- 2. 西らの 2 分類
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西 [Nis 04a] は会議を意志疎通会議と意思決定会議とに分類している. 吉田 [Yos 00] は会議をひらくねらいとしてつぎの 2 つをあげているが,これらはこの分類項目と対応しているとかんがえられる.
- 「組織内の人たちと情報交換し,人間関係をつくり,維持する」 こと.
- 「複数の人間に意思決定や問題解決の過程にかかわってもらい,実行しやすくする,あるいは少なくとも反対がでないようにすること」.
- 3. 二木の 7 分類
- 二木 [Fut 02] は会議をつぎのように分類している: 伝達会議,問題解決会議,調整会議,決定会議,企画会議,研究会議,研修会議. ただし,各項目についての説明はない.
二木の分類における伝達会議は西の分類における意志疎通会議,岩下の 「情報」 に相当し,問題解決会議,決定会議,企画会議は意思決定会議に相当するとかんがえられる. 二木の調整会議,岩下の 「調整」 は意志疎通会議と意思決定会議の両方の側面をもっているだろう. また,二木の研究会議と研修会議は西や岩下の分類にはあてはまらないとかんがえられる.
4.4 他の分類
規模や目的以外の基準による分類として,つぎのようなものがある.
- 1. 形式による分類
- 二木 [Fut 02] は会議にはその形式によってつぎのような種類があるとのべている: パネルディスカッション,シンポジウム,フォーラム,バズセッション.
- 2. 公開性による分類
- 二木 [Fut 02] は会議を公開会議と非公開会議とに分類している.
- 3. 頻度による分類
- Harvard Business Review [Har 02] においては会議をその頻度によって,毎日行われる会議,毎週・毎月行われる会議,不定期・適宜開催・特別プロジェクトのための会議の 3 つに分類している.
会議の 5 側面として安達ら [Ada 97] はつぎの項目をあげている: 規模,同一性,複数性,公式性,二面性. ここで同一性とは同時刻に同一場所にあつまることをさし,本来のか意義では両方がみたされる. また複数性とは多様で異質な参加者などが存在すること,二面性とは意見などの対立が存在していることをいう. これらの項目は分類基準となりうるとかんがえられる.
5. 会議における座席配置とすわる位置
会議における座席の配置や参加者間の距離の適切な設定がおおくの文献において重要な項目としてとりあげられている. 推奨されている配置の例をあげる.
- 二木 [Fut 02] がすすめる配置 (図 1 (a))
- 対面型と円卓型 (10 人未満),長方形型とロの字型 (10 ~ 29 人),教室型 (30 人以上).
- 吉田 [Yos 00] がすすめる配置 (図 1 (b))
- ロの字型や丸く輪になるのは 7~8 人以上の場合はやめた方がいいという. その理由は,これらの配置では参加者がみなテーブルの中心にむかうことになるが,「等しい力を輪の内側に向かっていくつかかけてみた場合,力は互いに消しあってしまう」 からだという1. また,人数が 10 人前後ぐらいまでは半円形,それ以上の場合は 4 ~ 5 人ずつの小グループになって座るのがよい. 全員が発言し,内職もできないようにすることは,座り方を小グループ形式にすることによって可能である.
- 3. 齋藤がすすめる配置 (図 1 (c))
- 齋藤 [Sai 02] は,会議において 2 人のひとがすわる位置関係として,90°の位置にすわる (p. 145) のがよいとしている. また,齋藤によれば,8 人程度の会議においては,円卓にすわることによって参加者が他の参加者に均等に意識を振り分けられるという利点がある (p. 148) という.斎藤がはっきり書いてはいないが,参加者の (声などの) 方向がはっきりくべつできるようにするのがよいということではないかと解釈することができる.
1 ドイル [Doy 76] は 「円形に座ると,向かい合った人どうしがエネルギーを交わすことになり,たがいに効果を打ち消しあってしまい,会議の新たなエネルギーが生まれてこない」 と書いている. 吉田の意見はここからきているのであろう.
(a1) 対面型 (a2) 円卓型 (a3) 長方形型 (a4) ロの字型
(a5) 教室型
(b) 吉田による配置 (c) 齋藤による配置
図 1 会議における座席配置
これらの意見にはかならずしも説得力がなく,それらのあいだには対立点もふくまれている. それは,これらが実証的な研究にもとづいているわけではなく,各著者の (個人的な) 経験にもとづく意見だからである.
会議のおいて部屋やテーブルにおける着座位置については,つぎのようなことがいわれている. まず,角テーブルおよび丸テーブルのそれぞれについて,どの位置にすわったひとがリーダーになりやすいかをしらべた研究がある [Shi 90] (p. 67 ~). どの位置にすわるとどのような印象をあたえやすいかもしらべられている [Shi 90] (p. 70 ~). これらの結果は実証的な研究にもとづいているが,非常にスコープがかぎられた研究の結果であり,実際の会議にそれがどれだけあてはまるかはあきらかでない.
また,根拠はしめされていないが,八幡 [Yah 98] はつぎのように記述している. 「もし,あなたがミーティングでプレゼンテーションをするなら,窓を背にした席を選んではいけない. 参加者からは,あなたの表情が曇って見えない. 逆に,利害関係が対立しているなら,窓を背にした方が,あなたの心の奥まで見透かされないで済む. もし,あなたがミーティングをコントロールしたいなら,ドアから最も遠くて,参加者全員の顔が見える席がいい. 何気なく席を決めるのではなく,人間の心理を読んで,座る席を決めよう.」
6. ワークショップ
中野 [Nak 01],博報堂 HOW プロジェクト [Hak 03],西村 [Nis 04b] らはワークショップという概念を提唱している. これらの書籍のうち中野以外はビジネス指向がつよいが,それらは GE (General Electric) においておこなわれてきたワークアウト [Ulr 02] の影響をつよくうけている. これらの書籍が提案するワークショップはもちろんそれぞれことなっているが,共通する部分もある. ここではワークショップの特性を分析する.
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- 1. 創造的な目的
- 会議の目的のなかには連絡や伝達があるが,ワークショップはこれらを目的としない. すなわち,これらの目的をもつ会議は社内ネットワークを利用した手段によっておきかえて,問題解決などの創造的な目的にしぼってワークショップをひらくことをすすめている.
- 2. 複数のコンテクスト
- 博報堂 HOW プロジェクト [Hak 03] や西村 [Nis 04b] が提案するワークショップは改革された会議である. 会議の最大の問題点は 4.2 節においてのべたようにコンテクストがひとつしかないことからくる非効率性にあるとかんがえられる. それを改善するため,これらの書籍においては複数のコンテクストをもつワークショップ (西村はウルリヒら [Ulr 02] にならってこれをワークアウトと呼んでいる) をすすめている. すなわち,ワークショップのためにあつまったひと (10 ~ 20 人) を 3 ~ 5 人ずつの小グループにわけて,それらを独立に活動させる. ただし,ときどき全員をあつめて発表会をおこなう.
- 3. ブレインストーミングの活用
- とくにビジネス・ワークショップにおいては,問題解決のアイディアをだすためにブレインストーミングがつかわれる.
参考文献
- [Ada 97] 安達 勉 他, “会議の開き方,すすめ方,まとめ方”, 実務教育出版, 1997.
- [Doy 76] Doyle, M. and Straus, D., “How To Make Meetings Work!”, Berrett Koehler Publishers, 訳書: マイケル・ドイル & デイヴッド・ストラウス 著, 斎藤 聖美 訳, “会議がうまくいく法”, 日本経済新聞社, 2003.
- [Fut 02] 二木 絃三, “打ち合わせ & ミーティングの技術”, 日本実業出版社, 2002.
- [Hak 03] 博報堂 HOW プロジェクト, “わかる! ビジネス・ワークショップ”, PHP 研究所, 2003.
- [Har 02] Harvard Business Review, ed., “Effective Communicatin”, Harvard Business Review Books, Harvard Business Schools Press, 訳書: ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 訳, “コミュニケーション戦略スキル”, ダイヤモンド社, 2002.
- [Iwa 03] 岩下 貢, “グループミーティングの戦略”, ストラテジック・コミュニケーション 3, 慶應義塾大学出版界, 2003.
- [Jay 01] Jay, R., “Fast Thinking Team Meeting”, Pearson Education Limited, 2001, 訳書: ロス・ジェイ 著,有賀 裕子 訳, “すぐに解決! 会議術”, ダイヤモンド社, 2004.
- [Kie 88] Keiffer, G. D., “The Strategy of Meetings”, Simon & Shuster, Inc., 訳書: ジョージ D. キーファー 著, 川勝 久 訳, “戦略としての会議運営術”, TBS ブリタニカ, 1990.
- [Nak 01] 中野 民夫, “ワークショップ”, 岩波新書, 岩波書店, 2001.
- [Nis 04a] 西 等, “会議の達人”, 廣済堂出版, 2004.
- [Nis 04b] 西村 克己, “会議を劇的に変えるワークショップ入門テキスト”, 中経出版, 2004.
- [Oku 03] 奥出 直人, “会議力”, 平凡社新書, 平凡社, 2003.
- [Sai 02] 齋藤 孝, “会議革命”, PHP 研究所, 2002.
- [Sna 03] Snair, S., “Stop the Meeting – I Want to Get Off”, Scott Snair, Inc., 2003., 訳書: スコット・スネア著, 鬼澤 忍 訳, “会議なんてやめちまえ!”, 早川書房, 2003.
- [Yah 98] 八幡 紕芦史, “ミーティング・マネジメント”, 生産性出版, 1998.
- [Yos 00] 吉田 新一郎, “会議の技法”, 中公新書, 中央公論新社, 2000.