金田の阪神大震災情報まとめへの清水氏のコメント

編集中.
最終改訂日 : 95-5-24.

このページは「阪神大震災 -- 情報ボランティアとコンピュー タ・ネットワーク」情報ボランティア編WWW 編に対して 西宮市の清水氏からよせられたメイルを,金田が編集したものです.編集したのは, 上記のページやそこからリンクされた資料との重複をさけるため,また WWW 上での よみやすさのためです.もとのメイルは「サーベイ編」に対してよせられたもので すが,その後ページ編成を変更したため,ここではあらたな編成にあわせてあります.


Date: Thu, 18 May 1995 20:02:50
From: Kaz Shimz 
Subject: Comment to your WWW
To: yk@trc.rwcp.or.jp
[中略]

まず、お断りしておきますが、私が個人的責任でコメントできる範囲は、金田さんが 作成された目次で表現すると、下記の章/節、だけです。


神戸から世界への情報発信 -- WWW を中心に

WWWに関しては、全く放談調で考えを述べます。

まず、余談ですが、私の学生時代の専攻は、公共経済学 & 経済哲学でして、

「経済学とは人間を研究する学問である。」
「経済学の任務は有限な資源(資本と労働力)の最適な分配の探求である。」
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
を徹底的に叩きこまれました。で、「最適な分配」を結構気にする性格です。
逆に言うと、冗長性をあまり許容しないタイプの人間です。
特に、乏しいことが明白な資源(典型が「お金」^^;)については。
(つまるところ、「ケチ」ですな ^^;)

かつて「WWWはネットワーク資源の浪費になりかねない」旨の意見をVAGのメーリ
ングリストで書いたのは、「有限なネットワーク容量」に対し、不要不急の(と私は思
った)画像データ等を添付するWWWサイトが乱立することにより、画像データに資源
の割り当てが偏重する可能性があるからです。

情報伝達効率を考えると、現在の日本では WWWサーバー の乱立は、インターネット
ユーザーの首を絞めかねない。もっとも、それで「容量増加要求」が認められ、バック
ボーンが太くなる可能性もあります。

#ここらへん、「ニワトリが先か卵が先か」みたいな関係ですね。

ま、逆にWWWサーバーの、閲覧簡便性とか、リンクによる検索用意性は特筆すべき
利点です。コマンドベースのBBSや、単純ツリー構造の FTP/Gopher では、この
金田さんの力作のような、俯瞰性/概観性のある説明は絶対に不可能ですから...

震災直後のNTTホームページのように、緊急時には画像を極力使わない態度を、
WWW管理者/作成者のエチケットとして確立できたらいいのに、とも思います。
とにかく、回線が太くなるまでは、帯域の奪い合いになりますから。

余談が長くなりました。ここらで終わります。

被災地と支援者をむすぶ通信とボランティア

金田 : 阪神大震災において被害の拡大,物資の過小・過多などのさまざまな問題をひきお こした最大の原因は,情報がうまくながれなかったことにあるとかんがえられます. 政府や兵庫県もけっして手をこまぬいてみていたわけではありませんが,必要な 情報が入手できなかったこと (入手するために十分な手をうたなかったこと) が初動をおくらせ,問題をおおきくしたといえるでしょう.

「何が必要な情報か(何を知るべきか)という事自体、だれも(政府・地方公共団体も マスコミもボランティア団体も)完全に把握していなかった」ことも明記しておいた方 がいいでしょうね。(必要な情報ジャンルのサーベイも次へ向けての課題です。) 「情報、インフォメーション」という抽象語が安直に一人歩きしないように。 抽象語の乱発は、実地での混乱を招きますので、あんまり好きではないです。

金田 : ボランティアに関しても,情報の不足のために,ボランティアをもとめている場所は あるのになかなかみつけられなかったり,どこでもっとも深刻な問題がおこっている のかがわからなかったりしました.そこで,ボランティア間,あるいは被災者とボラ ンティアや支援者をむすぶためのさまざまな方法がくふうされました.そのなかには もちろん電話や FAX などの従来的な方法もありますが,ニフティ・サーブを中心と するパソコン通信がおおきなやくわりをはたし,また一部でインターネットもつかわ れました.そして,情報流通のためのボランティアである「情報ボランティア」が 活躍しました.

「活躍」というほどの評価(を含む語)は、まだ時期尚早だと思います。 ここでは、「発生」「活動」程度の言葉が妥当でしょう。 本当に役に立ったか? と聞かれたら、まだ返答に困ります。

金田 : しかし,これらの「情報ボランティア」団体のいくつかやネットワークをまたがる 組織が体制をととのえたのは 3 月にはいってからで,そのときすでに震災ボラン ティア活動のピークはすぎていました.これらの組織のいくつかは,すでに活動の 中心をきたるべき災害や日常のボランティア活動の支援にうつしつつあります.

「あまり役に立たなかった」Niftyserveの情報VGや、 ポンポコ救援隊(自転車フォーラムの有志による情報収拾+ 物資配布の活動隊)は、2月初頭にはいちおうの体制 ができていたことを補足しておいて下さい。金田さんの文章では、「いくつかの団体 は、(比較的早く)3月にはいってから体制が整った、それ以外の団体はもっと遅か った」、ようにも読め、1月2月の段階で組織的に活動していた団体がなかった、と いう誤解を生む可能性があります。(流し読みして、「団体のいくつか」、の部分を 無視すると、まさにそういう誤解を招くでしょう。)

パソコン通信とボランティア

金田 : 震災後しばらくは,ボランティアたちはおもにニフティの掲示板などで連絡をとってい たようですが,私はその時期のことはまったく知りません.彼らをつなぐ組織とし て,下記のような組織がしだいにできて,ニフティを中心に活動していました.ただ し,この震災では非常に多数のボランティア団体や個人が活動していて,ここに列挙 したのはそのなかのほんの一部にすぎないことは,いうまでもありません.また, 下記の各組織もまったく独立のものというわけではなくて,おおくのひとが複数の 組織にまたがって活動していたことにも注意する必要があるかとおもいます.

補足します。 震災を契機としてできた団体の発生形態として、だいたい以下の4つがあるでしょう。 (Niftyserveの場合、です。)

  1. 常設フォーラムの常設/臨時会議室で行われたもの(前述のポンポコ救援隊など)
  2. 掲示板 → 個別メール → 同報メール(擬似メーリングリスト :-) (具体的な団体名はほとんど知りませんが、多数あったものと推測します。)
  3. 掲示板 → メールのやりとり → (賛同者増に伴い)同報メールの連発 → ホームパーティ(小掲示板)/パティオ(小会議室)へ発展したもの (情報ボランティアグループ、IVN川村班など)
  4. 「文句愚痴パティオ」(提供者:STKさん)で、あーだこーだ言い合っているうちに 組織体となって別パティオ化したもの(「NEWS!」 など)
また、自前のBBSなり、商用ネット上で擬似メーリングリスト/SIG/パティオを 持った(SIG Special Interest Group、PC-VAN におけるパティオと同等サービス) 常設ボランティア団体も存在するようです。(掲示板か Netnews で見た記憶がある、 という程度の知識ですので、具体的な団体名は覚えていません。)

金田 :

ここ、正確にはボランティア(個人および団体)の「連絡体(連絡網)」です。 IVN川村班 とか IVN神戸大学班 は組織ですが、IVNはあくまで連絡体です。 代表がいるわけでも、決議機関があるわけでも、参加規約が定められた訳でもない。 (このへんも、インターVネットとの混乱につながる遠因になりました。)

Niftyserve の震災ボランティアフォーラム13番会議室の、増澤さんと山本さんの コメントチェーン(スレッド、の方が金田さん向きですか?)で、この辺の機微が 明らかになると思います。(#185〜#316、でわかりますでしょうか?)

金田 :

IVNについては、IVN立ち上げ時の呼び掛け人の一人でもある、山本ゆうけい氏に 事実確認した方がいいでしょう。

#当時から、「最優秀渉外」でした。恐るべき Tough negosiater!!!

Q:IVNって結局何をしたの?
A:連絡会を開いただけですね。

という認識しか持てないのですが、金田さんの認識はどうなんでしょうか。 IVNのような「連絡体」は必要なのか、必要ならばどう機能すべきか、という点も、 追求する必要があります。私は「強いて必要ないが、あってもいいかな。」程度の認識 です。各団体の毒にも薬にもならなかったし...

親睦会というか、情報交換会としてうまく利用できていれば、その後の団体間のコミュ ニケーションが円滑になり、人手と物資の相互融通ができたかも、と考えていますが、 今回は残念ながら、全く機能しなかったように思います。

この辺、情報VGの岡本さんははっきりと「不要、邪魔」とか言ってました。 彼にいわせると、「行動」が要請されている時に「会議」やら「連絡」で時間をとられ るのは我慢ならないそうです。 「連絡、調整の手間を最小限にし、緊急度に従って各人がするべきことをする」を、 情報ボランティアグループの立上時に行動原理として標榜してました。 これも一理ありますが...

#私も、ついつい「効率性」を追求する方ですので、肯ける点があります。

金田 :

え〜、元メンバーとして、お願いがあります。

インターVの misc に投稿した文章を改編したものを、以下に添付しますので、 「情報ボランティアグループのアーキテクチャ」 とでも題して資料編かサーベイ編から ポインタはって下さいませんか。

このアーキテクチャ自体が、岡本氏(ちょこぱ氏) によって打ち出されたこと、も 明記すべきでしょう。これを忘れると、また猛烈な抗議を受けそうだ。 (しかし、他人へ説明する文章としてまとめたのは、なぜか私だった。^^;) このアーキテクチャは、「情報ボランティア活動」の評価・吟味の一つの基準になる と思います。岡本氏は、絶対的な基準だと考えているみたいですが...

−−−−(アーキテクチャ説明ここから)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[中略]
−−−−(アーキテクチャ説明ここまで)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

あと、Niftyserveで忘れてはならないのは、「News!」(成果は fj.misc.earthquake にも投稿されていました)、IVN川村班(兵庫県震災ネットサポーター、ただし、 最近はVAG現地班に乗っ取られつつありますね。)、その他いろいろあります。

金田 :

ここは、WWWが見られるようになった増澤さんへお任せします。

ネットワークをまたがる情報のながれ

あと、インターVについては、金田さんがまとめて下さった内容が、適切な評価で 非常にいいと思います。何より、淡々としているのがいいです。

情報ボランティア活動の役割と問題点

金田 : 武井さんのVAG脱退メール、その前振りの岡本氏のメールも載せたいところですが これは、絶対に無理でしょうね。ああいう意見のソフィスケートされた文章ってない でしょうか? 雑誌(「パソコン通信」「インターネットマガジン」「インターネット ユーザー」等)にないものでしょうかね?

金田 :

ここ、以下の私の発言をリンクして下さいませ んか?。これの評価が無いままだと、次回につながらないので... 私の今回の震災における、最大の活動なんで、思い入れがありまして。

00127/00144 PXD03473 清水 和佳    Format of *.survivors.life-info 1/3
[後略]


Markup: 金田 泰 (yasusi @ kanadas.com)
最終改訂 : 96-1-12