ずっとまえから話題になっていた iPhone (アイフォーン) がやっと市場にあらわれたということです． キーのない携帯電話，これは電話のインタフェースからキーに起因する制約をとりはらった，ポケット・コンピュータ (携帯情報端末, PDA) にほかなりません．
最近，こどもが Nintendo DS (ニンテンドー・ディーエス) をつかっているところを観察し，また，マスコミで報じられるゲーム以外のアプリケーションへの DS の浸透ぶりをみるにつけ，これがマーク・ワイザー (Mark Weiser) らがつくったパークタブ (ParcTab) やアップルのニュートンからはじまる PDA の延長線上にあるものだということはあきらかです．
PDA として最初に商業的に成功をおさめたのはパーム・パイロット (Palm) でした．
日本ではシャープがザウルスにおいて，ある程度の成功をおさめました．
しかし，パームにしろザウルスにしろ，基本的には手帳のイメージであり，あまりひろくうけいれられたとはいえません．
これに対して DS はゲームマシンをベースにすることで，無線 LAN (WiFi)，文字認識や音声認識などのさまざまな機能をくみこみながらも安価なポケット・コンピュータを実現しています． しかし，DS は無線 LAN をとりいれたとはいえ，通信機能がよわいのが弱点だとおもわれます． 無線 LAN の設定がめんどうなことをのぞいても，ゲームのなかでそれをつかうとハングしたりするので，あまりつかいやすいとはいえません (こどもが 「 どうぶつの森」 で無線 LAN をつかおうとして反応がなくなったので，アクセス・ポイントをリセットしたら，ハングしました)． ゲームなどであまり通信機能がつかわれていないのは，このつかいにくさがひとつの原因だとおもわれます．
アメリカなどでは PDA と携帯電話はかなりまえからむすびついてスマートフォンという機器がつくられていましたが，日本でもやっと Willcom / Sharp (ウィルコム / シャープ) の W-ZERO3 などのスマートフォンが売れるようになってきました．
しかし，最近のスマートフォンはもともと PDA にも携帯電話にもついていなかったフルキーボードがついていて，とても 「スマート」 とはいえません．
これをスマートにするべく登場したのが iPhone だといえるでしょう．
iPhone は携帯電話を搭載しているので，通信は容易です．
しかし，携帯電話をのせるとそれだけで DS 本体以上のコストがかかってしまうところに難点があります．
ところで，ポケット・コンピュータとしての機能はどうでしょうか?
現在のところ，マルチタッチ・インタフェースを採用したという目玉と，加速度センサーなどのいくつかのセンサーを内蔵しているという点をのぞくと，OS X を採用しているという以上のくわしい情報はよくわかりません (センサーについては iPhone のニュースリリースに一番情報があるようにおもいます)．
DS と iPhone とでは機能も価格もちがうので，これらはすくなくとも当分は共存していくのでしょうが，ポケット・コンピュータとしてみると，Wintel PC (ウィンテル・ピーシー) と Macintosh (マッキントッシュ) くらいの差しかないようにおもえます． どうなっていくのか，興味があります．
追記:
DS と iPhone とで共通しているひとつの点は，従来のポケット・コンピュータとはちがって，ユーザがプログラムを自由にのせられない点です．
iPhone に関してはこれはセキュリティのためだとされていますが，日本の携帯電話がそうであるように，アプリケーションに関しても囲い込みをはかって，アップル自体と開発者の収入源を確保しようという意図があるものとおもわれます．
これは DS のようなゲームマシンにおいても同様です．
iPod においては音楽ファイルに関してだけこのモデルが適用されていましたが，iPhone ではそれが拡大されると予想することができます．
関連項目 (2008-7-27 追記):
