「ワーマンの “情報組織化の軸” と軸づけ検索」 に書いたように,私の研究テーマだった 「軸づけ検索」 はワーマンの 「軸」 論と密接な関係があります. いまでも軸にそった情報の組織化は検索された情報を直観的に理解できるようにするために重要な方法だとかんがえています. しかし,どうも 「軸」 にそった組織化というかんがえかたが,おもったほどうけいれられていないようにおもわれます.
私はここ数年,工学院大学における年に 1 ~ 2 コマの講義のうち,年に 2 ~ 4 回だけを担当してきました. そこで毎年,軸づけ検索の話をしてきました. 最初はかなりつよい反応があったのですが,最近はあまり興味をもってもらえないようになってきました. それにはいろいろ理由はあるとおもうのですが,そもそも軸にそった組織化というかんがえかたが興味をひいていないのではないかとおもわれます.
ワーマンがもっとも最近,軸による情報組織化について書いた本は 「それは 「情報」 ではない」 です. この本の日本語版は最近 (2007 年 1 月) に再版されていますが,内容は 2000 年からかわっていません. 2000 年の時点でも以前の本とくらべてそれほどあたらしい点はなく,また,むしろインパクトはへってしまっていたようにおもわれます. Amazon.co.jp におけるこの本の評価はひくくはないのですが,この状態を反映しているようにおもわれます.
私の講義とワーマンの本とのあいだには,私がワーマンを引用していることをのぞいて,とくに関係はないのかもしれませんが,どうも,むすびつけてかんがえたくなってしまいます.
「軸」 をつかう検索として,最近,NEC が 「時間軸から目的の情報を探す検索システム」 を開発したという話題がありました. 「時間軸 検索」 というキーワードをつかって Web で検索すれば,この話題に関するページがいくつもみつかるはずです. NEC のプレスリリースには 「時間軸」 ということばはないのですが,なぜか,どの記事も 「時間軸」 ということばをつかっています. しかし,いずれにしても,この話題もあまり世間の興味をひいてはいないようです.
「軸」 がはやらない理由がなにかあるのならば,ぜひそれを知りたいものです.