イベント・プロデューサーである 平野 暁臣 は 「コトづくりの眼」 (日本実務出版, 2005) という本 (117 ページ) につぎのように書いています.
欧米の人たちは広場の使い方がうまい. [中略] なかにはその存在感を世界の轟かせている広場だってある. パリのポンピドーセンターでは世界から集まったパフォーマーが腕を競っているし,ロンドンのコベントガーデンは蚤の市やストリートミュージシャンでにぎわっている.
私にとってはロンドンのピカデリーサーカスがたまたま一番記憶にのこっています.
ピカデリーサーカスはそれほど特別な場所というわけではありません. モニュメントがあり,そのまわりにひとびとがすわったり,立ち話をしたりしています. 特別な場所でないからこそ,そこはくつろぎの場になり,ひとびとの出会いの場になっています.
1987 年にロンドンにいったとき,私もまちあるきにすこしつかれて,ここにすわって,やすんでいました (写真はもっと最近のものを借用しています). そのとき,となりにすわった年上の男が声をかけてきました. いっしょに,のみにいかないかというのです. のみにいく相手がいないからさがしていたのでしょう. 私はことわりましたが,ここではこうやってひととひととが出会っていくのだということがわかりました. 日本でも似たような出会いの場はありますが,まちのなかには広場らしい広場はないので,すくなくとも広場による出会いは演出されていないということができます.
ここではヨーロッパでのまちあるきの経験を広場を中心に書きましたが,まちあるきについては 「徒歩による海外旅行のたのしみとリスク ― パリ編 ―」 などににいろいろ書いています.