Amazon.com (アマゾン・ドット・コム) はロングテールによって利益をあげている Web 2.0 の代表選手とみなされています. そして,このロングテールはいまでは Amazon がもつ巨大な物流倉庫にささえられています. しかし,もともとの Amazon はこんな巨大資本にたよるやりかたをしていませんでした. そして,いまでも古書に関しては Amazon の出発点にちかいやりかたをとっています.
Amazon.com はその出発点においては個人企業でした. 在庫をもたずに,ロングテールに属する本はもちろん,販売量のおおい本も他社の倉庫に依存していました. つまり,出版社の倉庫から直接配送するやりかたをとっていました. しかし,これでは注文者にとどくまでに時間がかかりすぎるということで,巨大な物流倉庫をもつようになったときいています.
私自身は 「Amazon によってやっと買えるようになった古書」 という項目に書いたように,Amazon の日本書売場である Amazon.co.jp から買う本の大半は古書です. ロングテールに属する本を古書店やその本が不要になった個人から買っています. 巨大な物流倉庫をもつ Amazon でも古書まであらかじめ買いとって倉庫にいれておこうとまではかんがえないのでしょう. そのほうが物流にかかる総費用がふえてしまうからなのでしょう.
しかも,私が経験していることは,あたらしい本が Amazon の倉庫からおくられてくるのより,古書がおくられてくるほうが,はやいことがおおいということです. Amazon に発注するときはまとめて発注するせいでもあるのでしょうが,在庫がそろっていても 1 ~ 2 日でとどくことはまれです. 古書のばあいは,おそいこともありますが,競争がはげしいためか,すぐにとどくことがおおいのです. ロングテールにふさわしい Napster (ナップスター) 的な P2P (peer to peer, ピア・ツー・ピア) のしかけ (Amazon がハブになっている) で,しかもはやい. すばらしいことです. 送料がよけいにかかること (ヤマト運輸をはじめとする宅配業者をずいぶんともうけさせています),1 冊ずつしっかり放送してあるので開封に時間がかかることが難点ですが,これらはたいした問題点ではありません.
あたらしい本が買えるネット書店はほかにもたくさんありますが,古書に関しては Amazon がほとんど only one です. 私はこれからも Amazon.co.jp から古書を買いつづけるでしょう.