サブプライム・ローン問題については 「ポートフォリオの問題点 ― とくに確定拠出年金のばあい」 という項目でもふれました. そこでは 「不透明性が拡散される」 という表現をつかいましたが,ここではもっと具体的に水にたとえてみましょう.
サブプライム・ローンの資金はよごれた (不透明な) 水にたとえることができるでしょう. このよごれた水がほかの水とまぜられて,いろいろな金融商品がつくられたわけです. おいしいはずの水にこのよごれた水がまぜられたことによって,のめない水ができてしまったわけです. 本来より価値がひくい水が大量につくられて,どこの銀行も,のめない水をかかえることになってしまいました. まざっていなければ売れたはずのおいしい水は,よごれた水がまざることによって売れなくなって,どんどん値段がさがっているわけです. (写真は 「迫りくる世界経済クライシス ─ サブプライムローンという信用収縮問題」 から借用させてもらいました.)
2008-10-2 追記:
この項目ではサブプライム・ローンをふくむ金融商品を水にたとえましたが,中井 裕幸 著 「サブプライム逆流する世界マネー」 においてはそれをフルーツ・バスケットにたとえています.
よごれた水がまざると,もうそれを分離することはできなくなりますが,いたんだフルーツがまざったフルーツ・バスケットは,いたんだフルーツだけをとりのぞくことができます.
サブプライム・ローンのばあいも,まぜてつくられた金融商品からサブプライム・ローンだけを分離することができます.
その意味では水にたとえるよりフルーツ・バスケットにたとえるほうがよかったようにおもいます.
2008-10-5 追記:
倉橋 透著,小林 正宏 著 「サブプライム後に何が起きているのか」 ではサブプライム問題を論じるにあたって,そこでつかわれる 「証券化」 を 「川の水を飲み水に変えていくプロセス」 にたとえています.
「飲料用として適した上水 (優先部分) とそうでない下水 (劣後部分) にわけ [以下略]」,さらにこまかくわけて格付けのことなる金融商品をつくっていくわけですが,それがうまく機能しなかった (浄水装置がうまくはたらかなくなって,「上水」 まで汚染されたうたがいがもたれている?) から 「上水」 まで信用されなくなってしまったということでしょう.
ただ,証券化のプロセスは浄水のプロセスほど複雑ではないようにおもいます.