通信路上でパケットをぬすみみてコピーし,それを送信することによって送信者になりすますことを replay attack といいます. このことばの訳語は安定していなくて,リプレイ攻撃,再送攻撃,再生攻撃などのことばがつかわれています. どれをつかうべきなのでしょうか?
「Neighbor discovery の訳語 ― 近隣者発見 (?!)」 では “neighbor discovery” ということばの訳語をとりあげましたが,今度は “replay attack” です. “Play” の訳語として “再生” がつかわれるので,replay attack も再生攻撃と訳すのはもっともだとおもわれます (“re” がついているので “再再生” となるべきかもしれませんが,これは奇妙なので “再” は 1 個にするわけです). しかし,問題は “再生” という日本語にはべつの意味があるので,誤解されやすいということだとおもわれます. それよりは “再送” にしたほうが誤解の余地がすくないとおもえます. ところが,“再送” は retransmission の訳語としてもつかわれます. Retransmission と replay とをくべつしなくてよいのか,ということが問題になります. これをくべつしたいということになると,やむなく “リプレイ攻撃” と訳すことになります.
カタカナ語をつかいたくはないのですが,ほかによい方法をおもいつきません. ということで,とりあえず 「DHCPv6 のセキュリティ」 や 「TLS / SSL」 などでは “リプレイ攻撃” と訳しています.