資本主義経済においては,分業,大規模化,集中,グローバル化がめざされてきました. ひくいエネルギー・コストのもとではものを移動させてもそれほどコストがかからないからです. しかし,温暖化をはじめとする環境問題が深刻化し,エネルギー・コストが大幅に上昇すると,そういう方向はかならずしものぞましいものではなくなってきます.
逆の極端は自給自足です. 完全な自給自足を復活させることはかんがえられませんし,情報通信のグローバル化は今後もさらにすすみ,過去にもどることはないでしょう. しかし,モノに関しては分散的な生産・消費をゆるいネットワークによってむすぶシステムがひとつの理想形になるのではないでしょうか?
これまでおしすすめられてきた分業,大規模化,集中,グローバル化のながれは,環境やエネルギーにおいてつぎのような問題をもたらしました.
- 物流の拡大によるエネルギー消費拡大と CO2 排出などの環境悪化
- 消費者の選択範囲の拡大にともなうフェティッシュな欲望を満足させるための努力 ― そのための資源浪費
問題はまだほかにもあるでしょうが,ともかく,こうした問題はみかけ上のゆたかさをもたらしながら,資源浪費や環境悪化を通じて,実は貧困をもたらしているのではないでしょうか? もう一度,自給自足の方向にふりこをうごかすべきなのではないでしょうか? マイクログリッド,いいかえると電力供給と消費の分散化はそういう方向のひとつのこころみだとおもいます. 農林水産業をはじめとして (「庭の緑と温暖化 ― 自家農園が解 ?!」 参照),ほかの分野でもそういう方向を指向するべきなのではないでしょうか?
2008-6-29 追記:
「自給自足」 ということばをつかいましたが,すべての食物を自給するのは不可能です.
とくに,都市にすんでいると,肉やさかなはもちろんのこと,農業においても自給自足は不可能でしょう.
米の生産は日本の農家の得意な分野なので,まかせておいたほうがよいでしょう.
「野菜や果物」 ということばをつかったのは,そのためです.
すべてとはいかないとしても,野菜や果物に関してはある程度の自給が可能でしょう.
団地に住んでいても,ベランダである程度の野菜や果物をそだてることは可能であり,それをすすめる本は多数,出版されています.
ベランダにそそぐ日光をよりよく利用すること,それが環境問題を緩和するひとつのカギだとおもいます.