楽天などの仮想商店街においては,商品を検索して,いろいろな方法で整理することができます. リチャード・ワーマンは情報組織化の 5 つの軸をしめしていますが,それらの整理の軸もワーマンの組織化の軸によって説明することができます.
「ワーマンの “情報組織化の軸” と軸づけ検索」 という項目に書いたように,リチャード・ワーマン (Wurman) は 「それは 「情報」 ではない」 (MdN Corp., 2001) という本のなかで, 「情報を組織化できる基準はつぎの 5 つだけである」 といいきっています.
- カテゴリー
- 時間
- 位置
- アルファベット
- 階層
仮想商店街のばあい,まず商品は 「カテゴリー」 ごとにわけられています. 通常,いきなりキーワード検索するか,またはカテゴリーをたどっていってからキーワード検索します.
ここからさきはひとによってちがうでしょうが,私のばあいはそのあと,価格によってならべかえます. 通常は価格がひくいほうから順にならべます. ワーマンの分類には 「価格」 らしきものはあらわれていませんが,実は上記の軸のうち 「階層」 はワーマンのまえの本では 「連続量」 とよばれていたものであり,価格はここにはいります.
Google をつかえば キーワード検索は Web 全体に関して容易にできますし,Yahoo などでは (情報量はかぎられていますが) Web サイトがカテゴリーで分類されています. しかし,Web 全体の情報を価格によって整理するのは容易ではありません. PriceWeb をはじめ,それをこころみた研究はいろいろありましたが,あまりうまくいったとはいえません. それに対して楽天などの仮想商店街においては,価格によって商品をソートすることができるように設計されているので,それが容易に実現できます.
「位置」 という軸は 「空間」 とよびかえてもよいとおもいますが,これはたとえば商品や店などを地図にならべてみることを意味します. 現実の商店街では地図や店内での商品の配置は重要ですが,現在の仮想商店街では空間の間隔は希薄です. 仮想商店街のこころみのなかには店のならびを 3D グラフィクスで再現しようとしたものもありましたが,すたれてしまいました. 空間にあまり意味をもたせることができなかったのだとかんがえられます.
「時間」 には客観的な時間と主観的な時間とがあります. 主観的な時間とは,たとえば買うべきものや買う順序をストーリーじたてで記憶するようなことをいいます. これも,仮想商店街ではあまりつかわれていない軸だとおもわれます.
「アルファベット」 は日本語でいえば 「50 音」 に相当しますが,これも仮想商店街ではあまりつかわれていません. だれもが商品名を買いもののてがかりにしているのであれば,これは意味のある軸になるでしょう. しかし,実際には消費者は商品名をあまりはっきり記憶していないことがおおいので,軸として有用でないのだとかんがえられます.
このように仮想商店街においては,ワーマンの組織化の軸のうち,うまくつかわれているものもありますが,そうでないものもあります. いまはうまくつかわれていない軸をもっとうまくつかう方法はないか,かんがえてみるのは意味のあることなのではないでしょうか?