エネルギー価格や,食糧および木材・鉄鉱石をはじめとする工業原料価格の高騰は,それらの供給源の分散につながる. 石油にかわるエネルギー源としての自然エネルギーやアルコール,オイルシェールなどの開発が加速され,木材の国内供給がうながされる.
自然エネルギーの開発は現在のところ,石油価格高騰よりは CO2 削減がよりつよい動機となっている. しかし,アルコールやオイルシェールのような石油の代替エネルギーにおいては,すでに石油と比較できるコストになってきていることが,それらの開発の加速につながっている. 日本においては農産物からの代替エネルギー生産はのぞむべくもないが,海底にねむるメタンハイドレートが注目され,また小規模ながら露天掘りによる石炭の生産もふえているという (「世界の急速な変化と日本人のすすむべき道」 参照).
食糧についていえば,これまで自給率が低下しグローバルな供給に依存してきた日本においては,それによって深刻な問題がひきおこされる可能性が生じている. すなわち,海外から食糧を調達できなくなる危険が生じている. そのため,家畜資料の米などによるおきかえがはじまっている.
また,すくなくとも短期的には中国における食の安全問題によって,国内における食糧原料および製品の生産が促進される効果がうまれている. ただし,これは将来にわたってつづく保証はない.
原材料に関していえば,日本における木材生産がこれまでより採算をとりやすくなり,それを促進する効果がうまれている.