「グローバルな商品流通によるリスクを回避するには?」 という項目に書いたように,グローバルな商品流通は商品の 「汚染」 によるリスクを拡大させる. このリスクをおさえこむには,「汚染」 された商品の流通範囲を限定させる必要がある. そのためのひとつの方法は,その商品の対価を特定地域内でしか流通しない地域通貨のようなものにすることである. 地域通貨はグローバル化した 「マネー」 の否定につながり,反グローバル化につながるであろう.
地域通貨はすでにさまざまな地域で導入されている. ただし,いまのところは非常に限定されたかたちであり,マネーに匹敵するような規模ではない.
しかし,加藤 敏春 は地域限定の 「エコマネー」 という地域限定の通貨を提案しているという (鈴木 謙介 「〈反転〉 するグローバリゼーション」). エコマネーはマネーにとってかわることを想定している. このような地域通貨が実現すれば,反グローバル化につながる.
「グローバルな商品流通によるリスクを回避するには?」 においては,わけられ,まぜあわせられる,複雑な商品流通をかんがえた. しかし,上記の本において鈴木はつぎのような,もっと単純な例をあげている (p. 220).
地域 A に多くの食料品を移入している貧困な地域 B が生産する食品は,健康に影響を及ぼす可能性が高く,また環境破壊に繋がるような生産体制をとっているとする. そこで地域 A は,地域 B からの食料品の受け入れを全面的に停止した.