論旨はおなじ著者による 「21 世紀の国富論」 にちかい. 崩壊した金融資本主義を批判し,ベンチャー的ものづくりの価値を主張している. 著者はあたらしい産業には 「コア技術」 が必要だと主張しているが,自身が提言している PUC (パーベイシブ・ユビキタス・コンピューティング) という概念や,それをささえるものとして IFX 理論 (インデックス・ファブリック理論) からうまれることを期待している. Web 2.0 に関しては 「Web での第 2 世代のサービス」 としていて,その無理解にはおどろかされる. そして,開発投資の対象をきめるのに各分野の専門家がえらんだ企業に優先的に投資するしくみを提案している. マイクロクレジットというような途上国における起業のしくみや日本の途上国援助にもふれている.
タイトルの 「新しい資本主義」 とは 「公益資本主義」 だという. それをささえる経済学も組織的に研究しているというが,経済学がつくれたからといってそれを実現させるのは困難なことだろう. かかげた理想には賛同するが,説得力がある議論だとはいえない.
評価: ★★☆☆☆
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