日本の携帯電話がそうであるのと同様に,シャワートイレ (TOTO でいえばウォシュレット) というのは徹底的に日本人固有のニーズにこたえたガラパゴス商品だ.
便器にすわったときにつめたくないようにしたい,排便後にシャワーで洗浄したい,手でさわらずに乾燥までしたいというシャワートイレの基本的な機能に関する要求も多分に日本人固有のものである. それが証拠には,日本以外ではまだほとんど売れていないということがある. トイレが冬に比較的気温がひくくなる場所にあること,冷え性のひとがおおいこと,清潔感がつよくもとめられていることなど,欧米にも,おおくの開発途上国にもないニーズにもとづいているのだろう.
「Panasonic のシャワートイレ」 に書いた Panasonic の DL-WA20 という私が買った商品をとってみると,人感センサーをつけて必要なときだけ通電するなど,ぎりぎりの節電のためにコストをかけていて,ニッチなうえにもニッチな商品になっている.
とはいえ,私がこの商品を買ったのは,メーカーの説明によれば年間 5000 円相当の節電が可能であり,3 年もつかえば十分ペイするという理由によっている.
この商品はまた,男子の小用時のとびちりをへらすための目標点 (「エチケット・ポイント」 とよばれている) を光でしめすという,こまかい機能ももっている. この機能については仕様には書いてないし,カタログにも数行しか書いてないので,(私もそうだったが) たいていのひとは,つかってみるまで気がつかないだろう. これも清潔感をつよくもとめる日本固有のニーズからきているのだろう.
この商品にはさらに脱臭機能もついているが,温風乾燥機能はついていない. 脱臭機能についていえば,安価な脱臭器を買ったこともあるが,家族がすぐに撤去してしまった. シャワートイレにつくりつけられた機能ならば,つかわれることになるだろう. 温風乾燥が必要なら,上位機種を買う必要がある. わが家では 「Panasonic のシャワートイレ」 に書いたように温風乾燥機能はあってもだれもつかわないので,2 台めにはそれがないものを選択した.