重慶爆撃は日中戦争の重要な部分であるにもかかわらず,あまりとりあげられることがない. 書籍としては 「重慶爆撃とは何だったのか」 のほうが手ごろだが,そこからはわからないさまざまな点がこの本によってあきらかにされる. この日本軍による執拗な無差別爆撃によって重慶やその市民がどういう被害をうけたかはもちろんのこと,ゲルニカにはじまり東京大空襲や広島・長崎につづいていく無差別爆撃のなかでの重慶爆撃の位置づけや,現在も尾をひいている中国人の対日感情,日米戦争への影響なども論じられている.
2 段組で 640 ページにわたってぎっしりと書かれた本ではあり資料価値はたかい. しかし,ひとつ不満があるのは,ほとんど個別的な情報が収集されているだけで,統計がわずかしか書かれていないことである. 過去の一地域に関する統計をあつめるのは困難だろうが,もうすこし情報をあつめることはできなかったのだろうかとおもう. 「重慶爆撃とは何だったのか」 にはいくつかの統計がふくまれているので,補足することができる.
評価: ★★★★☆
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