「東西世界が向きあっていたベルリンでの佐渡裕のショスタコービッチの演奏」 に書いたように,NHK BS で佐渡裕指揮によるベルリンフィルの演奏が放送された. ショスタコービッチとともに演奏されたのが武満徹の題記の曲だ. 武満はすきな作曲家だが,この曲は記憶にあるかぎり,聞いたことがなかった.
晩年の武満の曲はとくにひびきがうつくしい. この曲もそうだ. だが,その一方でどの曲も,ひびきも曲想もよく似ている. ベートーベンのような作曲家が,とくに交響曲に関しては 1 曲 1 曲個性的な曲をつくっているのにくらべると,表現の幅がせまいことは否定できない.
それから,この曲は打楽器奏者とオーケストラという編成であり,一種の協奏曲のようだ. 曲の後半に打楽器だけのながい部分があるが,おもいだすのはノベンバー・ステップスだ. ノベンバー・ステップスのばあいは尺八と琵琶とオーケストラという編成だった. そして,尺八と琵琶だけのながい部分がある. 曲のひびきは晩年の武満の曲とはだいぶちがうが,曲の構成としては似たところがあるようにおもう.
残念ながら,あたらしい発見はそれほどない.
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