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2012-02 アーカイブ

2012-02-04

知的生産とリテラシー:思考法・アイデア術, 書評:知的生産とリテラシー

著者は大学教授であり,この本もこれから就職しようという学生を中心に書いている. そのせいか,かなり具体的な方法も書いてはあるのだが,とうのむかしに大学を卒業した私には,あまりピンとこない. すでにやっていること,ためしたことがあることがおおい. まだあまりいろいろやったことがない学生にはよいのかもしれない.

評価: ★★★☆☆

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文化・教育と学習:教育・大学・研究, 書評:文化・教育と学習

「ホームレス博士」 というタイトルだが,著者はホームレスの博士が (どれだけ) いるのかをしらべたわけではないようだ. その意味では,この本の内容もふくめて,誇張されている面はある. しかし,基本的には就職できずに非常勤講師をいくつも兼任している博士たちの,まだあまり知られていない実態を紹介している. 読者は著者や対談相手の鈴木謙介からまなぶことはできるだろうが,現状を改善する方法が書かれているわけではない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ホームレス博士@ [bk1]ホームレス博士@Amazon.co.jp

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書評:生活, 生活

プロローグには 「人生 80 年時代の定年の迎え方」 などと書いてあるのだが,なかをみると,定年がちかづいたら会社でもおとなしくすることをすすめたり,いままでためこんできたものを捨てることをすすめたり,定年後が 「老後」 だということを強調しているようにみえる. 積極的にチャレンジすることをすすめている部分もあるが,全体的には保守的であり,これからの日本でいきのこっていけないのではないかという印象をうける.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 定年の迎え方@ [bk1]定年の迎え方@Amazon.co.jp

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2012-02-12

数学・計算・情報学・プログラミング:人工知能・複雑系と人工生命, 書評:数学・計算・情報学・プログラミング

「複雑ネットワーク」 というタイトルだが,半分強のページは普通のグラフやネットワークにあてられている. グラフやネットワークの基礎をしらないひとがいきなり複雑ネットワークの話をよんでもわからないだろうから,ある意味では必要なことだろう. しかし,いくらマンガでよみやすくしてあるとはいっても,すこし道がとおすぎるようにおもえる. もうすこし,近道をしてもよかったのではないだろうか.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 複雑ネットワーク@ [bk1]複雑ネットワーク@Amazon.co.jp

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数学・計算・情報学・プログラミング:人工知能・複雑系と人工生命, 書評:数学・計算・情報学・プログラミング

複雑ネットワークに関してはダンカン・ワッツやマーク・ブキャナンらによる一般むけの本もあるが,そういう,数学的なあつかいがまったくない本とくらべると,この本は数式はほとんどないものの,もうすこし数学的なあつかいをしていて,知的好奇心をみたしてくれる. 多少の数学的センスがあれば,かんたんに読むことができるだろう. スモールワールド,スケールフリー,伝染病,インターネットなどがとりあげられているのはそれらの本と共通だが,ベーコン数とエルデシュ数などに 1 章がわりあてられている.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「複雑ネットワーク」とは何か@ [bk1]「複雑ネットワーク」とは何か@Amazon.co.jp

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数学・計算・情報学・プログラミング:人工知能・複雑系と人工生命, 書評:数学・計算・情報学・プログラミング

スモールワールドやスケールフリー,インターネット,エイズの流行などをとりあげている点ではダンカン・ワッツの本と同様の内容だといえる. しかし,著者はサイエンス・ライターであり,専門家であるワッツよりはひろい視野でインターネットの歴史や散逸構造や物理学者ランダウに関するエピソードなどを話のなかに織りこんでいるところにこの本の魅力があるといえるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 複雑な世界、単純な法則@ [bk1]複雑な世界、単純な法則@Amazon.co.jp

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数学・計算・情報学・プログラミング:人工知能・複雑系と人工生命, 書評:数学・計算・情報学・プログラミング

複雑ネットワークの研究者であるダンカン・ワッツが自分の研究経験もふくめて書いた本である. とりあげられている話題はタイトルにあるスモールワールドのほか,スケールフリー,伝染病やインターネット・ウィルス,WWW や他のネットワークにおける探索などだ. 研究者どうしの関係などは研究者が書いた本ならではだとおもえる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: スモールワールド・ネットワーク@ [bk1]スモールワールド・ネットワーク@Amazon.co.jp

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数学・計算・情報学・プログラミング:人工知能・複雑系と人工生命, 書評:数学・計算・情報学・プログラミング

ダンカン・ワッツの本と同様に,複雑ネットワークの研究者による一般むけの本だ. 内容もスモールワールド (「小さな世界」 と訳されている),インターネットとスケールフリー・ネットワーク,ウィルスやコンピュータ・ウィルスなど,かさなる部分が多い. 類書はワッツの本以外にも何冊かあるが,それらとくらべるとインターネットと WWW についてはややくわしく書かれているようだ. 他の本にない興味ぶかい部分もあるが,残念ながらワッツやブキャナンの本とくらべると,やや印象はうすかった.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 新ネットワーク思考@ [bk1]新ネットワーク思考@Amazon.co.jp

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文化・教育と学習:教育・大学・研究, 書評:文化・教育と学習

教養主義は死んだといわれてひさしい現代に,著者は大学における教養教育の重要性を初年次教育とあわせて強調している. 東大が教養学部をのこしたことが成功であったのなら,教養教育が重要なのはたしかだろう. しかし,「教養とは異分野の人と恊働するために欠かせない能力であると規定すると,教養の意義はとても分かりやすくなるはずです」 という記述はまったく理解不能だ. 教養についてのかんがえがふかまらないまま大学の教養教育について論じても,十分な議論はできないだろう. 初年次教育を教養教育とあわせて論じていることも,議論がふかまらない理由のようにおもえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 対決! 大学の教育力@ [bk1]対決! 大学の教育力@Amazon.co.jp

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2012-02-13

Web とインターネット:プロトコルとネットワーク

4 月から工学院大学でネットワークの講義をすることになっている. 準備のためにネットワークの教科書をいろいろあさっているのだが,どうも気にいったものがない. たいていの本はなにか本質をはずしているようにおもえてならない.

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2012-02-17

数学・計算・情報学・プログラミング:人工知能・複雑系と人工生命, 書評:数学・計算・情報学・プログラミング, 書評:社会・経済, 社会・経済

「ネットワーク・サイエンス」 というと幅がひろいが,この本は社会学者である著者が四半世紀にわたってつづけてきたという社会ネットワーク分析を中心としていて,ほとんどのページはひととひととの関係について書かれている. もっとひろい意味の 「つながり」 を期待するひとには,期待はずれになるだろう. SNS や「恋人連鎖」のような個人的な関係と,業務電子メールなどからわかる,エンロンなどの企業内の関係の両方が話題としてとりあげられている. こういう話題に興味があるひとなら,おもしろく読めるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「つながり」を突き止めろ@ [bk1]「つながり」を突き止めろ@Amazon.co.jp

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Web とインターネット:クラウドコンピューティング, 文化・教育と学習:教育・大学・研究, 書評:文化・教育と学習, 書評:知的生産とリテラシー

Google が提供するさまざまなツールやエバーノート,スカイプ,フェースブックなどのツールを研究にどうやくだてることができるかが書かれている. この手の一部の本とはちがって,著者の経験にもとづいて,ほんとうにつかえるやりかたを書いているのだろうし,先端的なつかいかただといえるだろう.

しかし,これだけさまざまなツールをずっとつかいこなしていけるのだろうかという疑問も感じる. メールにふりまわされないために G メールをつかうことをすすめていて,それはおおくのひとがこころみていることでもある. しかし,メールにふりまわされるかどうかは,著者もところどころ書いているように,環境よりつかいかたの問題だから,環境によって問題が解決されるかのようなかきかたは適切でないだろう. また,論文管理のためのツールはむかしからあるが,あまり決定版といえるものはないから,ここで紹介されているメンデレイがものになるのかは疑問だ.

とはいえ,ここにはさまざまなヒントがあることはたしかだ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: クラウド知的生産術@ [bk1]クラウド知的生産術@Amazon.co.jp

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2012-02-18

文化・教育と学習:教育・大学・研究, 書評:文化・教育と学習

この本を読んでみると,最近の大学論のおおくがいかに近視眼的だったかがわかる. おおくの本がここ数 10 年のスコープしかもっていないのに対して,この本は中世からの歴史をひもとく. そして,現在すすめられている改革のおおくがすでに 1971 年の 「四六答申」 で提案されていることが指摘されている. 大学問題にかぎらず,現代がかかえる問題をかんがえるうえで歴史的な認識が重要であることを,あらためて感じさせる.

評価: ★★★★☆

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書評:社会・経済, 社会・経済:若年者問題・ワーキングプア・プレカリアート

「就活にかかわるヤツらはみんなバカばかり」 というわけで,著者は就活生をタタき,企業の面接者をタタき,就職情報会社をタタく. 大学はそれほどはタタかれていないようにみえる. 就活の実態を知ることは必要だが,タタいてばかりいて,あまり建設的な議論であるようにはみえない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 就活のバカヤロー@ [bk1]就活のバカヤロー@Amazon.co.jp

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仕事と起業, 書評:仕事と起業, 書評:社会・経済, 社会・経済

ノーベル賞をとり,「モッタイナイ」 ということばを世界にひろめた著者の自伝である. 著者自身を知ることができるだけでなく,著者がいきてきたケニアの政治状況や環境破壊とそれらへの反対運動などについて知ることができる貴重な本だということができる. ケニアはながらくイギリスに支配されてきたが,イギリスからきて白人・黒人のくべつなく接してきたひとの話,厳格な修道女に教育されてきたこと,根強い男女差別とそれが原因になった離婚,反政府的な運動に対する容赦ない弾圧など,著者をとりまくさまざまな状況がえがかれている. そういうなかで著者が成功したのは,成就するまでひとつのことをやめなかったからだということもわかる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: UNBOWED へこたれない@ [bk1]UNBOWED へこたれない@Amazon.co.jp

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書評:インタフェース・デザイン・アメニティ, インターフェース・デザイン・アメニティ

著者は 「ニンテンドー DS が売れる理由」 という本のなかで 「ゲームニクス理論」 を提唱している. この本はそれをゲームをよく知らないひとにも解説し,応用をしめそうとしたものなのだろう. ゲームニクス理論の 4 つの原則つまり 「直観的なユーザー・インターフェイス」,「マニュアルなしでルールを理解してもらう」,「「はまる演出」 と 「段階的な学習効果」」,「「ゲームの外部化」 ― ファミスタで読み解く」 を解説し,ゲームニクスがなにをもたらす <はず> であるかを,いろいろな面から書いている.

しかし,この本からはゲームニクス理論はよくわからないし,わからないままに応用について書かれても納得することはできない. ゲームニクスについては,具体的にゲームやゲーム機を分析するなかから原則を説明している 「もとの本」 を読んだほうが,えるところはずっと多いだろう.

評価: ★★☆☆☆

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2012-02-25

書評:生活, 生活

著者は 3 回東大に入学し,それぞれ 1 年生から経験している. 2 度めは医学部にいき医者になったが,50 歳をすぎて今度は文学部を卒業したという. その 4 年間のさまざまな講義がとりあげられているが,そのなかでもフィリピンのスラムや囚人のまちにいった経験が詳細に書かれていて,その危険やきたなさにおどろかされる. 歳をとっても 4 年間じっくり大学に籍をおいて講義をきくことでえられるものはすくなくないと感じさせる.

評価: ★★★☆☆

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数学・計算・情報学・プログラミング:人工知能・複雑系と人工生命, 書評:数学・計算・情報学・プログラミング

ここ 30 年くらいの複雑系の研究の集大成といってよいだろう. とりあげられているのは創発現象,秩序と無秩序,カオス,フラクタル,ゲーム理論,そして比較的最近発展してきた複雑ネットワークの理論などだ. 複雑ネットワークに関する本のおおくは 2005 年ごろに書かれているが,それよりあたらしい本書には,もっとあたらしい研究成果もとりあげられている. 「複雑で単純」というのが全体をまとめたことばなのだろうが,全部読んでも全体の地図はみえてこない. やはり複雑なのだ.

評価: ★★★★☆

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文化・教育と学習:教育・大学・研究, 書評:文化・教育と学習

著者が大学でおしえているのはマンガであり,おしえる内容も方法も 「大学論」 というタイトルから読者が普通に想像するのとはだいぶちがっている. マンガが大学でおしえるべきものなのかどうかは,読みおわってもなお,わからない. しかし,著者がいいたいのはこれが現在の大学のすがただということだろう. あとがきに著者はつぎのように書いている. 「大学でこの 4 年間,ぼくが行ったことは若いときからずっとものを書きながら考えてきたことを 「教える」 という目的の中で再構築する,ということだ. それは自分の思考を 「批評」 ではなく 「方法」 として徹底してつくりかえることであった.」 このことばには深く共感する.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 大学論@ [bk1]大学論@Amazon.co.jp

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数学・計算・情報学・プログラミング:人工知能・複雑系と人工生命, 書評:数学・計算・情報学・プログラミング

ネットワーク科学の研究者である著者が,その理論がひとのネットワークにどうかかわってくるのか,できるだけ具体的にイメージできるように書いている. わかりやすさを追求しているのは博物館もおなじであり,ニューヨークの博物館でネットワークがどのように展示されているかもとりあげられている. とりあげられている理論は他の本とあまりかわらないが,わかりやすさの追求のしかたには独自のものがある.

評価: ★★★☆☆

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書評:Web とインターネット

どの分野でもあるとはおもうが,ネットワークの本のなかにも何冊か,イラストが豊富な本がある. これらの本はイラストが論理的に書けていて,しかも比較的安価だ. そこには秘密がある.

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2012-02-26

Web とインターネット:私の Web サイト

4 月から工学院大学で 「コンピュータネットワーク」 という講義を担当することになっているが,それ専用のブログ 「計算機ネットワーク論 (コンピュータネットワーク)」 をつくった. とりあえずは教科書のこと,シラバス案,それから使用予定のビデオのことを書いている.

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