今年あたらしくはじめたことのひとつは,講義のなかばでおこなう小演習だ. 第 2 部の講義は 1 回 90 分だったが,第 1 部は 105 分だ. 105 分しゃべりつづけるのはたいへんだし,学生の集中力がそんなにつづくわけがない. 大学でも一方的な講義にならないように,教師が工夫することをもとめている. 机がうごかせない教室なのでグループ学習には適さないから,ひとりずつで小演習をしてもらうようにした.

工学院大学 (1 部) での「インターネット論」の講義は 2 年めになった.その内容は以前担当していた 2 部の「コンピュータネットワーク」の内容を基本にしつつ,昨年も今年もすこしずつ変えてきた. これまで変えてきた内容については別に書くとして,ここではイーサネット演習でのあたらしいこころみについて書く. それは,これまでつかってきたシミュレータをやめて,安価なスイッチや Arduino Uno 互換ボードなどをつかったハードウェアを使用した演習 (実験) だ.

2017 年度で工学院大学の第 2 部はなくなり「コンピュータネットワーク」の講義も終了したが,後期からは第 1 部の「インターネット論」という講義を担当することになった. 「コンピュータネットワーク」最後の年はブログを書かないままおわったが,講義の内容は前年とほぼおなじだ. ただ,学生数がすくなく,出席率もひくかった. というわけで「コンピュータネットワーク」は中途半端な状態でおわってしまったが,今後すくなくとも 3 年間は「インターネット論」という講義を担当することになった. とりあえず「コンピュータネットワーク」の講義内容を下敷きにしてはじめてみたが,2 部と 1 部とではかなり差があるので,途中でも転換をはかり,来年度はかなりの改訂をするつもりだ. このブログは「インターネット論」にひきつごうとかんがえていたが,この記事がそれについてのはじめての記述になった. 来年度どうするかは,これからかんがえることにする.

TCP のアプリケーションとして講義で Web をとりあげ,そのなかに HTML の話もいれている. そのため,演習のレポートを HTML で書いてもらうことをおもいついた. 演習の結果をそこにながしこんで,コメントを書いてもらって Web ブラウザで表示すると レポートが整形されるとかんがえた. しかし,実際にはそんなにうまくいかずに,結局私が HTML をそのまま読むはめになった.

最初の演習がうまくいかなかったので,イーサネットを中心とする演習をもう 1 回やった. そのとき,イーサネット・シミュレータとともにつくりかけの IP シミュレータも用意した. あまり使用はすすめられないと学生にいっておいたのだが,それをつかったひとも何人かいる. イーサネットと IP とをいっしょに提示したことが,一部の学生に混乱をひきおこしたようだ. こういうことはするべきでなかったとおもう. さらに,もう 1 回,かんたんな TCP, UDP の実習をこころみた. ほんとうはさらに TCP 上のサービスつまり FTP, telnet, ssh などの実習もしようとかんがえていたが, 準備が不十分でできなくなった.

イーサネットの演習をいきなりやっても,あまりうまくいかないことがわかった. 来年はネットワーク以前の部分の説明からはいるようにしようとおもう. そして,インターネットのいりぐちとしてのブロードバンド・ルータをもっとはじめに導入するやりかたがあるのではないかとおもった.

シミュレータの例題として,ループをつくるとうまく通信できないという例をあげていた. しかし,その例題をちゃんとテストしていなかった. 学生がそれをためしてみて,あまりうまくうごかないことがわかった.

今年度はとくにシミュレータの改良とそれをつかった演習にちからをいれている. イーサネット・シミュレータにくわえて IP のシミュレータもつくった (IP シミュレータはもうすこし完成度をあげてから公開する). 最初の演習ではコマンド・プロンプトでつまづいてしまったので,それを陽にひらかくなくてもダブル・クリックするだけでシミュレーションできるようにくふうした.

ことしはイーサネットの講義 (2 回) の後半を演習室つまり学生ひとりに 1 台ずつコンピュータがある環境でやってみた. それでもいろいろハードルがあってうまくいかなかったが,その経験をもとにして シミュレータを改訂したので, ここにあたらしい版をのせる (5 月 10 日改訂).

この講義でつかっているイーサネット・シミュレータについての論文を書いて,国際学会 ICOIN 2015 で発表してきた. 査読者の評価がひくくて,口頭発表でなくポスターでしか採択されなかったが,好意的な意見もきくことができた.

しばらくここに書きこみをしてこなかったが,そのあいだに講義は終了した. 今年は休講もたびかさなったためか,試験の成績はあまりよくなかった. 予定どおりイーサネットのシミュレータをつかったが,これまあまりうまくいかなかった. 準備不足もあったが,予測できない部分もあった.

ネットワークは耳学問でなくて,なにかしら,さわってみるのがよいとかんがえている. そのために昨年,イーサネット・シミュレータをつくった (最新版, 2014-4-27 版, 2014-4-19 版, 昨年度版). 昨年はもともとの計画が失敗してドロナワ的につくったものなので,うまくつかってもらうことができなかった. しかし,今年はうまくつかってもらえるようにしたい.

昨年度のスライドをようやくアップロードした. 半年以上まえに確定しているので,もっとはやくのせればよかったが,著作権対策がめんどうなので,いままでほうってあった.

シラバスの期限は月末だとおもいこんでいたが,確認したらきのう (2 月 26 日) になっていたので,あわてて書いた.昨年までとくらべると,記述するべき内容がふえ,記述の基準もきびしくなっている.シラバスの内容をここにも書いておく.

試験もおわったいま,反省の時期になっている. 昨年と同様に,シラバスの一部として入力した 「授業を振り返ってのコメント」 をここにも採録する. ただし,字数制限のためシラバスからは最初の段落ははずしている.

試験の答案は学生に通常は返却しない. 答案は大学から 5 年間の保管を義務づけられているということだ. コピーをとって原本ないしコピーのほうを返却する可能性はあるが,その方法もくふうしないと返却できない. 昨年は返却しなかったが,コピーのとりかたなどかんがえていなかったから,今年も返却するのは困難だろう. 来年はくふうして返却をこころみることもかんがえられる.

日本の大学生は概しておとなしいのだが,今回は試験の終了直前および直後に 2 人から 「抗議」 をうけた. その主要な内容は試験の問題文に不適切な点があるということだが,それだけでなく,この講義のポリシーに関する部分もある. ネットワーク屋の常識にあわない部分については,来年度はより慎重なあつかいが必要だろう. しかし,ゆずれない点もある.

2013 年度のシラバスへのリンクをはっておく (Japanese only).

http://syllabus.sc.kogakuin.ac.jp/syllabus/daigaku/2013/2C54/6F71.html

2013 年度の他の記事よりまえに表示されるようにするため,日付を操作している.

最後の講義の時間には,2 回めのレポートの採点結果を学生にフィードバックするとともに,その前日 (7 月 19 日) の仮想化研究会での発表内容を紹介するのにあてた. 反応はあまりよくなかったが,ネットワークに関する講義なので,その先端研究を紹介するのもよいのではないかとおもっている.

今年度は,昨年度の「教科書」からの脱却をはかろうとかんがえていたが,結局,スライドはほとんど昨年とおなじ内容になってしまった. スライドを改訂するためにあまり時間がかけられなかったということだ. そのため,著作権上の問題から,使用したままのスライドをネットで公開することはできない. 解像度をおとした全スライドをここに (あとで) のせることにする.

2014-4-13 追記:
すっかりおそくなってしまったが,スライドをここにおく.

講義は全体としては昨年にちかいかたちですすめている. だから,このブログにもほとんど書かなかった. しかし,当初予定では Seattle というシステムをつかうつもりだったのをあきらめて,イーサネットのシミュレータを新規開発して演習につかってみた. その結果はあまりよくなかったが,このプログラムはつかえるのではないかとおもうので公開する.

きょう (2013-4-13) が 2013 年度の講義の初日だ. 昨年度の講義の内容などに関しては改善の必要がいろいろあるものの,大幅に改訂する必要も余裕もないので,シラバスは昨年度のをわずかにかえただけだ. しかし,すでにかえたのは教科書の指定をやめたことであり,もうひとつかえたいとかんがえていることとして,Seattle というシステムをつかって講義・演習をすることがある.

2012 年度のシラバスへのリンクをはっておく (Japanese only).

http://syllabus.sc.kogakuin.ac.jp/syllabus/daigaku/2012/2C54/6F73.html

2012 年度の他の記事よりまえに表示されるようにするため,日付を操作している.

試験もおわって,今年度のまとめの時期になった. シラバスの一部として入力した 「授業を振り返ってのコメント」 をここにも採録する.

学生がレポートのかきかたを知らないということを 「2 回のレポート」 に書いた. 今年度はもう 「感想」 としてつたえるくらいしかできないが,来年度は課題をだす際に要領をかんたんに説明するようにしたい.

個人ブログの 「大学の講義で MacBook Air と Keynote をつかっている」で書いたように,この講義では MacBook Air と Keynote という Apple のソフトウェアをつかってきた. MacBook Air は軽量であつかいやすく,OS も Unix 系なので,そのうえでデモもしやすかった. Keynote は PowerPoint に似たソフトウェアなのだが,機能がうまくしぼりこまれている.

9 章 (ネットワーク・サービス) と 10 章 (ネットワーク・セキュリティ) のスライドをアップロードする. これで,今年度はあとは試験をのこすだけだ. 来年のため,試験はアップロードせずにおく.

  • 第 12/13 回: 9. インターネット上のネットワーク・サービス
  • 第 14 回: 10. ネットワーク・セキュリティ

すでに TCP, UDP まで講義したが,そのまえの 6 月 9 日に Ethernet と IP に関する理解を確認するために,無記名で選択問題をやってもらった. まえには ○× 式の問題をやってもらっだ,選択式のほうがもうすこし情報がえられるだろう. それでも,この程度の問題なら 10 分くらいでやってもらうことができる.

期待していたよりは正答率のひくい問題がおおかったが,ぬきうちテストなのでやむをえないともいえるだろう.

シラバスに書いたように,この講義では 2 回のレポートを課した. 1 回めは 5 月の連休をはさんで書いてもらったが,ちょうど 2 回めを出題したところだ.

第 10 回から第 11 回のスライドに,著作権上の問題がおこりにくいように対策したものをアップロードする.

  • 第 10/11 回: 8. ネットワーク・サービスの基礎プロトコル TCP と UDP

数回前に学生のアンケートをとった. 全科目についてアンケート用紙が用意されて,結果も大学で集計してくれる. 私が 1 学期間すべての講義を担当するのははじめてなので,どういう結果がでるのか,いささかおそれながら待っていた.

最近はあちこちで 「仮想化」 が注目されている. サーバの仮想化,ネットワークの仮想化などなど... しかし,それでは 「仮想化」 ってなにを意味しているのか,どれだけのひろがりがあるのか,とおもってしらべても,あまりきちんと書いているものがない. この講義でネットワーク仮想化をとりあげたので,そのついでにコンピュータの仮想化のことまではなした. その材料を Wikipedia にいれて紛糾するとこまるので,自分のサイト (調査と解説: 仮想化とは?) に書いた.

第 8 回から第 9 回のスライドに,著作権上の問題がおこりにくいように対策したものをアップロードする.

  • 第 8/9 回: 7. プライベート・ネットワークとネットワーク仮想化

ここには私が参加している仮想化ノード・プロジェクトやのことや, 私が開発した非 IP プロトコル IPEC (IP Ether Chimera) のことや,OpenFlow の紹介もしている.

第 6 回から第 7 回のスライドに,著作権上の問題がおこりにくいように対策したものをアップロードする.

  • 第 6 回: 4. インターネットとインターネット・プロトコル (IP) (途中から)
  • 第 6/7 回: 5. インターネットとイーサネット
  • 第 7 回: 6. プロトコルやネットワークの階層構造

この講義では教科書として 井戸 伸彦 「
新しい情報ネットワーク教科書」,参考書のうちの 1 冊として 織田 薫, 坪山 博貴 「図解! よくわかるネットワークの仕組み」 を指定している. 講義のながれはおよそこの教科書にそってはいるが,教科書・参考書として指定したおもな理由はこの本の図を利用させてもらうためだ. これらの本とくに前者には図が多数収録されているのだが,その図の性質は対照的だ.

第 3 回から第 5 回のスライドに,著作権上の問題がおこりにくいように対策したものをアップロードする.

  • 第 3 〜 4 回: 3. イーサネット (LAN)
  • 第 5 回: 4. インターネットとインターネット・プロトコル (IP) (途中まで)

2 回めの講義は 「通信ネットワークの原理」 というタイトルだったが,それがどれだけ理解されたか,またその復習のために,○× 式の問題をだしてみた. これで成績をきめるわけではないので記名はもとめなかったが,答案になまえを書いているひとも何人かいた. 想定した解答と正答率をだしてみた. 正答率が 50% 未満になるようだと,出題に問題があったのではないかと心配になる.

これまでの 2 回の講義のスライドをアップロードした. Web から借用した図はそのままだが,「教科書」 から引用した図はぼかしてある.

  • 第 1 回: 1. さまざまなネットワークとその現状
  • 第 2 回: 2. 通信ネットワークの原理

2012-6-3 追記:
目次をリンクしわすれていたので,追加しておく. この目次のうえで,「教科書」 との関係をしめそうとしている.

先週の講義のときに,今後の講義の参考にするために,学生に,かんたんにこたえられる ○× 式の問題とアンケートをこころみてみた. ひっかけ的な問題もあるためもあるのだろう. あまり正答率はたかくない. この講義がおわるまでには,だいたいこたえられるようになってもらいたいものだ.

4 月 7 日,第 1 回の講義につかったスライドを大学のイントラネット (Kuport) に登録した. そのうち目次の部分をここにもアップロードしておく. そのあとの部分 (第 1 章) には公開すると著作権上やや問題な部分があるので,それに対策してからアップロードすることにする.

4 月 7 日にはやくも講義がはじまった. 全体 (15 回) のながれを示してから,学生がどのくらいの知識や経験をもっているかを確認するための問題とアンケートに回答してもらってから,最初の "章" にはいった. 脇道の話もしながら,ゆっくり話すつもりだったが,だいぶはやくすすめてしまって,つぎの "章" まで話をすすめることになってしまった. 次回からはもっとゆっくり,かつ,理解を確認しながらすすめる方法を確立する必要がある.

講義全回分のスライドのプレビュー版をつくった. 講義では他人が著作権をもつ図をつかおうとしているが,このプレビュー版ではそれをそのままのせるわけにはいかないので,ぼかしてある.

シラバスは 1 ヶ月以上まえに書いて,講義のスライドや講義でみせたいビデオの一部もつくってきた. シラバスは OK だが,スライドはまだ十分に準備できていない.

工学院大学ではこれまで 「マルチメディア工学」 という科目の一部の講義だけを担当してきた. 電気通信大学ではコンパイラの講義をしたことがある (ただい 1 学期間だけ) が,大学でネットワークの講義をしたことはまだない. しかし,会社のなかでは (1 回だけだが) ネットワークの講義と演習をしたことがある. 演習では Java による SIP 風プログラムをとりあげた.

イーサネットのネットワークは木構造でなければならない. ループをつくるとどうなるかは,実験してみるとだいたいわかる. 学生自身がやってみるとよいのだが,数 10 人の講義のなかで,ひとりひとりにためしてもらうのはむずかしい. だから,ビデオを用意した.

シラバスの期限が 2 月 28 日ということなので,先週からかきはじめたものを一応フィックスさせて,教務課に提出した. その内容をここにも書いておく.

2012 年度がはじめてなので,すべての材料を独自に用意することはとてもできない.  ぴったりの教科書があればそれをつかえばよいから,いろいろさがしてみたのだが,残念ながら既存の教科書には不満だらけだ (「世のネットワーク教科書への不満」 参照).  しかたがないので,講義の材料を一番おおく提供してくれる本を教科書として指定して,ほかにも何冊か参考書を指定することにした.