螺旋 3D 印刷による照明器具を世にだすのに,3 種類の方法があるとかんがえている. これまで,第 1 に螺旋 3D 印刷でデザイナとのコラボレーションをもとめて試行するとともに,第 2 によりひろい (ユーザとの) コラボレーションも試行してきた. そのことは「螺旋走査線 3D 印刷と照明器具に関するコラボレーションのかたち」に書いた. その一方で,第 3 に私自身がツールやプログラムをつかってデザインした器具をネットショップや展示会などで販売してきた. いずれもまだあまりうまくいっているとはいえないが,これら 3 種類のやりかたを洗練して,うまくやれる方法をみつけていきたい.
螺旋 3D 印刷をつかえば,従来の 3D 印刷がもっていた短時間でかたち (プロトタイプ) がつくれるという特徴をのばして,さらに短時間でプロトタイプだけでなく製品にもつかえるものを,一般消費者に買ってもらえるくらの低コストでつくることができる.また,螺旋 3D 印刷をつかえば,従来のガラスでも射出成型プラスティックでも実現できない反射・屈折による光の変化や陰影を実現することができる.
第 3 の方法つまりデザイン・コラボレーションをつかわない従来的なものづくりの方法であっても,このような螺旋 3D 印刷の特徴をいかすことができる.すなわち,販売した商品をユーザの反応をみて短期間にかえていくことができる.しかし,螺旋 3D 印刷の特徴をよりよくいかす方法はこれではないとかんがえられる.
私自身は螺旋 3D 印刷がつくりだす光の変化や陰影をまだ十分にいかすことができていない. それがいかせるのはデザイナだとかんがえられる. しかし,そのためには第 1 の方法つまりデザイナとの密なコラボレーションが必要だとかんがえている. それについては「「螺旋走査線 3D 印刷技術」をつかった照明器具デザイナーとのコラボレーションの可能性」に書いた. デザイナに螺旋 3D 印刷の性質を理解してもらい,場合によっては 3D プリンタをもちこんでのコラボレーションをする (上記の記事では「超スパイラル開発」と呼んでいる) ことで,螺旋 3D 印刷の特徴を照明器具にうまくいかしていくことができるのではないかとかんがえている.
しかし,これまでのコラボレーションの経験からみても,デザイナがそれをうまくみつけてくれるとはかぎらない. 3D 印刷が maker movement と密につながっていることをかんがえても,また螺旋 3D 印刷が generative design を志向していること (「ジェネラティブ・デザインによるランプシェード」参照) をかんがえても,すくなくとも常識にとらわれたデザイナにはブレークスルーをおこすことはできないとかんがえられる. ブレークスルーをおこすのは,むしろ一般のユーザであるかもしれない. これが第 2 の方法だ. ときどきひらいているワークショップ (下記のページを参照) は,そういう機会をもとめてのものだ.