Design シンポジウムという,8 つの学会などの組織にまたがる学際的な学会が 2 年ごとにひらかれている. 今年はコロナ禍のためオンラインでの開催になった. 私もこれまでほとんど知らなかったのですが,最近こころみているシングルトン連続生産について発表した. Design という英単語をつかっているのはデザインと設計とをわけたくないからだろうと安易にかんがえていたが,この学会をはじめて聴講してみて,そこでは design ということばがもっとはるかにひろくとらえられていることがわかった.
私自身は英語では design ということばをつかえばすむものを日本語ではデザインと設計に訳しわけなければならないのはめんどうだと感じていた.3Dデザインランプを design するときにデザインと設計のあいだに壁はないからだ. しかし,それは design という語のとてもせまい解釈にすぎなかった.
事前にこの学会での design ということばの意味をよく把握していなかったのは勉強不足なのだが,これまでひらかれてきたこの学会の論文集あるいは個々の論文が Web で容易にアクセスできなかったので,よくわからないまま発表までしてしまった. この学会での design の意味はもっと組織や社会にまでかかわるものであり,design にかかわる実験の場としてよくつかわれているのはワークショップだった.その思想的な背景としてサイバネティクスやハイデガーなどの哲学についても語られていた.
私自身はすくなくとも 1990 年台までは人文科学まで視野にいれて工学的な研究をしたいとかんがえていた. しかし,だんだん余裕がなくなって,そういうことはあまりかんがえなくなっていた. 今回この学会を聴講して,なかなかそういう幅広い議論についていけないと感じていた. 2050 年に向けて世界がさまざまなおおきな問題にぶつかり,それを解決しようとしているなかで,もう一度,視点をひろげる必要があると感じた.
(この項目は 3d-dl.com のブログ記事をすこしかきかえたものです.)