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環境・エネルギーアーカイブ

0001-01-01

tetu_bn_161.gif 書評・読書カテゴリーには私が Amazon や BK1 に投稿した書評や,本について書いた文章をあつめています. 以前はすべての書評をひとつのページにいれていましたが,書評の数がおおくなり,書評・読書カテゴリーのページがながくなりすぎたので,書評・読書カテゴリーを分割しました. 書評以外のカテゴリーにあわせて, DIY (日曜大工) とものづくりWeb とインターネットインタフェース,アメニティとデザインセキュリティ・安全・安心と秘密・プライバシー保護メディア・アート・イベント・エンターテイメント仕事と起業心理思想・哲学・宗教情報学・計算・プログラミング政治・法律・憲法教養・教育と学習歴史環境・エネルギー生活知的生産とリテラシー社会・経済言語・コミュニケーションとネットワーキング というように書評を細分するようにして,書評カテゴリーのページにはそれらに分類しづらいものをあつめました. なお,このページは各カテゴリーのページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2007-11-03 10:39 です).

2007-10-22

本書は環境問題に関して,まちがった知識が流通していること,それがマスコミによって流通させられていること (とくに朝日新聞のなまえが複数回あらわれている) を指摘している. そして,われわれがどういう論理にだまされているのかをしめしている. ダイオキシンは猛毒だとか,温暖化によって北極と南極の氷がとけて海水面が上昇するというウソには私もダマされていた. マスコミがウソをながさないようにすることがまず必要だが,それにだまされないようにするためのヒントをあたえてくれている. とはいえ,だまされないようにすることは,そんなに容易ではない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 環境問題はなぜウソがまかり通るのか@ [bk1]環境問題はなぜウソがまかり通るのか@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-29

前著にひきつづいて,温暖化問題のウソや,バイオ燃料をつくるのにそれ以上の石油がいること,ペットボトルなどのリサイクルがかえって環境負荷をたかめたり問題をおこしたりすることなどを指摘している. リサイクルをやめてプラスティック廃棄物も焼却するほうがよいと主張しているが,それは結局,対策としてはゴミをへらすしかなく,ものを愛用するつまりだいじにつかうべきだということになる. たとえば,ペットボトルを 5 回くりかえしてつかうことをすすめている. 環境問題にはそんなにウマい手はなく,政府などによってマヒさせられている常識をちゃんとはたらかせることが必要だということだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 環境問題はなぜウソがまかり通るのか 2 @ [bk1]環境問題はなぜウソがまかり通るのか 2 @Amazon.co.jp

つづく…

環境問題に関する議論にはウソがおおいという. 同様の趣旨の本として 武田 邦彦 の 「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」 (1, 2) がある. 本書では地球温暖化問題,ダイオキシン問題,外来種問題,自然保護の 4 点がとりあげられていて,そのうち最初の 2 つは前記書とかさなっている. ウソをあばいて読者がだまされないようにするのはたしかに重要なことだが,本書では現在主流の論点がくずされたあと,かわりにどうしたらよいのかがほとんどわからない. 最初の 2 つの問題に関しては前記書のほうがもうすこし建設的な議論をしているようにおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 環境問題のウソ@ [bk1]環境問題のウソ@Amazon.co.jp

つづく…

2008-01-07

武田 邦彦 著 「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」 のウソをあばくと称している. たしかに,武田の本の弱点を突いてはいる. しかし,それは武田の本の本質的な部分ではない. 本質をはずした部分ばかりを執拗に攻撃しても,うんざりするだけである. この攻撃を真にうけて武田の本の価値をうたがうひとがいたら不幸なことだが,これまでの書評をみるかぎりでは,さいわい,そういうひとはすくないようである. この本のなかではむしろ,武田への攻撃を終えて他のさまざまな温暖化を否定する言説を分析している部分のほうがおもしろい. ただし,ここもダマされないように注意ぶかく読む必要があるだろうが…

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: “環境問題のウソ”のウソ@ [bk1]“環境問題のウソ”のウソ@Amazon.co.jp

つづく…

2008-04-28

マイクログリッドの厳密な定義はこの本にゆずるが,それは従来の電力ネットワークに接続される分散した電力供給者と消費者とで構成される. 家庭の太陽光発電システムもマイクログリッドの一部になりうるが,この本がおもな対象としているのはもうすこし大規模な,企業などの発電システムであり,発電機器としてもマイクロ・ガスタービン,マイクロ・ガスエンジンなどがとりあげられている.

世間では太陽光発電に関しても CO2 が削減されるといった利点ばかりが強調されているという印象をうける. しかし,カリフォルニアやニューヨークでかつて発生した停電は,電力の安定供給がそんなにかんたんなものでないことをしめしている. 分散型の発電がひろまれば,電力系が不安定になるのではないかという私の疑問に,この本はこたえてくれた. ひとことでいえば,これから解決するべき課題が山積しているということである. 理系の私にもわかりにくい技術的な内容をふくんでいるが,おおまかな把握のためにはやくにたつとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: マイクログリッド@ [bk1]マイクログリッド@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-06

この本は著者の花粉症との想像を絶するたたかいの記述からはじまる. さいわい私はそれほどひどい花粉症ではないので,これはひとごとなのだが,著者とおなじくらいくるしんでいるひとにとってはヒントがえられるだろう. 後続の章では花粉症に関する俗説や花粉症がまちがった政策からうみだされたことなどがのべられていく. 私自身もこれまでえていたまちがった知識をただすことができた. ただしい知識をえることが今後の花粉症対策にむかうための世論形成にやくだつだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 花粉症は環境問題である@ [bk1]花粉症は環境問題である@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-08

辰巳 渚 の 「「捨てる!」 技術」 をはじめとして,捨てること,整理することに関する本がおおい. 私自身は,本はともかく,情報がつまっていないモノに関しては捨てるのがおしいとはあまりおもわなくなったのですが,それにもかかわらず,最近は捨てるのがますますおっくうになってしまいました. それは,環境・リサイクルのせいです.

つづく…

2008-10-17

紛争のタネにもなっている水にかかわる国家間の問題や日本における水の問題などについて書いている. 著者も日本人は水資源の問題には無関心になりやすいと指摘しているが,アジアの水問題に関しては日本が指導的なやくわりをはたすべきだと主張している. しかし,「湯水のように」 水をつかう日本人にそのやくわりがはたせるのだろうか?

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 地球の水が危ない@ [bk1]地球の水が危ない@Amazon.co.jp

つづく…

2008-10-19

第 1 章では地球温暖化への疑問を 100 ページ以上にわたってのべている. 著者独自の見解であり,根拠はあやしいが,温暖化に関して 「ウソ」 も報道されているから,それを指摘することには意味がある.

第 2 章はリサイクルの問題点を指摘している. リサイクル費用は需給関係によってきめられているわけではないから,資源消費量に比例していると主張している. つまり,費用のかかるリサイクルは実は資源を浪費しているということだ.私も以前から高価な 「エコ商品」 は信用しないことにしているし,費用のかかる家電リサイクルからのがれたいとおもっている.

第 3 章ではこのシリーズ 1 ~ 3 全体のまとめであり,さまざまな問題がとりあげられている. 1990 年以降の (ウソの) 環境問題は一部の科学者がつくりだしたものだという. そして,シリーズ 1 では朝日新聞がヤリ玉にあげられていたが,この本ではあちこちで NHK が批判されている. 著者は最近の子供は 「科学技術は悪だ」 という印象をもっているという. NHK がウソの環境問題をとりあげて悲観的な情報ばかりを報道して若者に悪影響をあたえているので,NHK をみることをすすめていないという.

1990 年以降,日本人は経済だけでなく科学や歴史など,さまざまな問題に対して自信をうしない,悲観的になっていた. 自信と希望,そして著者のいう誠実さをもつことが環境問題のただしい解決のためになるということはたしかだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 環境問題はなぜウソがまかり通るのか3@ [bk1]環境問題はなぜウソがまかり通るのか3@Amazon.co.jp

つづく…

2008-12-01

武田 邦彦 をはじめ,数人の日本人が環境問題に関する主流の議論に異をとなえる本を書いているが,この本はバチカンの大学教授が書いたものだという. そのため 「正しいエコロジーとは何か」 などの点でキリスト教の影響がつよく,日本人にはうけいれがたい部分もあるとおもわれる. また,論旨に疑問の点も多々ある.

しかし,人口増加や優生学と環境保護運動とくにグリーンピースや WWF との関係など,日本人が書いた本とはちがう視点を提供してくれる. 地球温暖化の問題はもちろんとりあげられているが,ほかに森林破壊,種の消滅,遺伝子くみかえ,大気汚染などの問題もとりあげられている. 環境問題をひろくとらえるためには,参考になる 1 冊である.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 環境活動家のウソ八百@ [bk1]環境活動家のウソ八百@Amazon.co.jp

つづく…

2009-02-25

人類が化石燃料をつかいつくして二酸化炭素にかえようとしていることに地球は耐えられるのか? 著者はさまざまな面からその異常さを追及する. 人口爆発による資源消費増大やダム建設による自然破壊,公害などの問題もとりあげられる. 最後の 2 章ではわれわれがこのような問題にどう対処するべきかを論じていて,さまざまな対策がしめされている. しかし,それらは経済成長のかわりにワークシェアリングによる雇用増大をというような,問題のおおきさのわりには,あまりにささやかなものであるようにおもえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 私たちの地球は耐えられるのか?@ [bk1]私たちの地球は耐えられるのか?@Amazon.co.jp

つづく…

2009-03-15

地球温暖化に関する多数の本のなかの 1 冊である. 「温暖化はウソだ」 という趣旨の本もすくなくないので,本書では現在あつまっている証拠からは温暖化していると判断できるが,それがくつがえる可能性もあることを,かなりのページを割いて,説明している. これは著者が一番いいたかったことではないだろうが,書かざるをえなかったのだろう.

そうしたうえで,著者は温暖化は避けてとおれない可能性がたかいが,それをどうやっておさえるかを論じている. 日本にとってはまず京都議定書の約束をまもらなければならないが,ゲタをはかせられるのでそれは達成可能である (がんばる価値がある) ことを示している. 京都議定書以降についても,「環境も経済も」 両方大事にすることができると書いている.

温暖化に関しては悲観的な意見をもつひと,温暖化そのものがあやしいのでほうっておけばよいという意見をもつひとなど,さまざまである. そういうなかで,著者の意見はもっとも建設的でバランスがとれたものだといえるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 地球温暖化後の社会@ [bk1]地球温暖化後の社会@Amazon.co.jp

つづく…

2009-05-23

グリーンピースやシー・シェパードなどによる過激な環境運動・動物解放運動の背景として,アメリカの 「正義のためには暴力も辞さない」 思想があることを論じている. 「アメリカの内なるテロ」 がこの本の主題だが,ブッシュが外にむけた暴力も根はおなじなのではないだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: エコ・テロリズム@ [bk1]エコ・テロリズム@Amazon.co.jp

つづく…

2009-08-27

タイトルからはゴミ分別に否定的なニュアンスが感じられる. 実際にそういう話題がいくつもふくまれているが,全体としては分別を否定しているわけではなくて,うまくいっていない例があげられているということだ. ゴミ収集に関してはいろいろ混乱があり,そこから結論的なものはひきだせていないが,これらの例を参考にして今後のゴミ収集をかんがえるためには有用だろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ゴミ分別の異常な世界@ [bk1]ゴミ分別の異常な世界@Amazon.co.jp

つづく…

2010-06-09

190 ページという,新書としても比較的うすい本のなかに,歴史,標準化,日米政府や各社のとりくみなど,スマートグリッドの 「すべて」 がまとめられている. スマートグリッドの資料としてはよくできているといえるだろう.

しかし,どうも,こころにうったえてくるものがない. 読んでも記憶にのこらないというのが正直な印象だ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: スマートグリッド入門@ [bk1] スマートグリッド入門@Amazon.co.jp

つづく…

2011-04-23

タイトルをみても原発を推進する立場で書かれていることはあきらかだ. いまとなっては,ぬけていた点があることもあきらかだ. しかし,この本が書かれた時点では最善の知識にもとづいて書かれているといってよいだろう. 原発事故についてもひととおり記述されているし,日本の原発に関しては立地,地元との関係,稼働率がひくい理由など,さまざまな内容がふくまれている. この本に書かれている内容は,原発に反対するにしても,ひととおり知っておくべきだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 日本の原発技術が世界を変える@ [bk1]日本の原発技術が世界を変える@Amazon.co.jp

つづく…

2011-05-10

臨界事故がどんな悲惨な患者をつくりだすかをえがいている. 中性子線被曝というきわめてまれな症例の記録として価値ある本であると同時に,事故をまねいた JCO の責任をするどく追求している本だといえるだろう.

末尾の解説ではチェルノブイリ原発事故もとりあげられている. 原発のこわさという点はどちらの事故も共通しているが,さまざまなちがいがあることも認識するべきだろう. それをあいまいにしたままの議論には疑問を感じる. 治療にあたった前川医師を中心とする原子力安全委員会がまとめた報告書のなかで,被曝治療の体制づくりが重要だと指摘しているという. しかし,ほとんど発生したことがない中性子線被曝のためにおおきなコストをかけるのは,はたして妥当なことだろうか? それはいま福島で発生の可能性がある放射性物質の崩壊による被曝とはまったくちがっている.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 朽ちていった命@ [bk1] 朽ちていった命@Amazon.co.jp

つづく…

2011-05-16

震災後はやい時期における著者の提言などをまとめたものだ. 福島第一原発事故に関しては,原子力の専門家だった著者の知識がいかされている. 著者は計画停電に関しては (当然) 批判的だが,やってみたから深刻さといかにバカげたものであるかが国民にわかったという点ではやってよかったのではないだろうか.

日本復興には成長戦略が重要であること,そのためには日本人のメンタリティをかえる必要があることなど,もっともだが,130 ページほどのみじかい本の議論では十分でない. すばやく本をだすことには価値があるが,みじかい期間でももうすこし計画を練ることはできたのではないだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 日本復興計画@ [bk1] 日本復興計画@Amazon.co.jp

つづく…

2011-06-04

20 年間ちかく休刊していた朝日ジャーナルという雑誌が,不定期とはいえ,復活した. そして,原発反対派をあつめて特集を組んだ. 年齢がわかる 29 人の著者のうち,1940 年代うまれが 12 人でもっともおおい. つぎが 50 年代の 8 人. 60 年代は 3 人で,70 年代は 1 人,それ以降はいない. 原発を語るにふさわしい著者がえらばれているのかというと,たしかに西澤潤一のようなすぐれた工学者・科学者もふくまれているが,彼もふくめてほとんどは専門外であり,あやまった記述がおおい.

御用学者はこういう雑誌に顔をださないだろうから,やむをえない面もあるだろう. しかし,年齢構成といえ,専門・職業といえ,せまい世界のなかにとじこもっているとかんがえざるをえない. 復刊しても,もはやかつてのような意味をあたえることはできないだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 朝日ジャーナル@Amazon.co.jp

つづく…

2011-07-17

朝日新聞記者である著者が,東日本大震災後の約 1 ヶ月のあいだの福島第一原発に関する東京電力の記者会見やその他の経験をまとめたものだ. 大半は記者会見の記録であり,当時のようすをそのまま記録しようとしている.

出版されたのは 6 月末だが,最初の 1 ヶ月のできごとをそのまま記録するのであれば,もっとはやく出版できたはずだ. この時期に出版するのであれば,ほかの情報源からわかったことを折りこんで,記者会見での担当者や社長・会長のことばの意味をもっとはっきりさせることができたはずだ.

淡々と書かれている本文とはちがって,「あとがきにかえて」 では著者自身の東電幹部などへのきびしい評価も書かれているが,それが彼らのどのことばと対応しているのかはわからない. また,それは記者会見に対する感想の域をでない. 新書として発行するのであれば,記者会見の単なる記録ではなくて,はっきりした根拠にもとづいて記者会見の裏になにがあったかをつたえるべきだろう. 小学生の作文ではないのだ.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: ルポ東京電力@ [bk1] ルポ東京電力@Amazon.co.jp

つづく…

2011-08-04

この本のタイトルだけみると,従来のウランによる原発を改良するだけのようにもみえるが,内容はそれとはまったくことなるトリウム熔融塩炉についての本だ. 従来の原発とはまったくちがって安全であり,核兵器への転用が困難かつプルトニウムの処理にもつかえるという. 著者の主張がただしいかどうか検証が必要だが,トリウム熔融塩炉に関する本はほかに 1 冊しかないようであり,検証のための情報もかぎられている. 福島などとおなじ 「原発」 ということばがつかわれるからといって,ふたをしてしまうと,道をあやまることになるかもしれない. もっと議論のまないたにのせるべきだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 原発安全革命@ [bk1] 原発安全革命@Amazon.co.jp

つづく…

2011-08-09

30 年前に書かれた本だが,現在のプルトニウムや高速増殖炉,原子炉一般,そして再生可能エネルギーやエネルギー浪費型の文明についても,その大半の問題がすでに指摘されている. もちろん,まず書かれているのはプルトニウムのあつかいにくさ (発火しやすいことなど) やアルファ線をだすことによる強毒性についてである. しかし,そこから,原発がつくったプルトニウムを何 10 万年にもわたって環境にでないように管理する必要があること,それがあやまりをみとめない厳しい管理社会や監視社会につながっていくこと,それをさけるには再生可能なエネルギーや,エネルギー浪費をやめることが必要だということにつながっていく. 著者自身は浪費をやめる方向にかたむいている. これは,まさに福島第一原発事故以後のこれから,おおきな議論につなげるべき内容だ.

評価: ★★★★☆

関連リンク: プルトニウムの恐怖@ [bk1] プルトニウムの恐怖@Amazon.co.jp

つづく…

2011-08-15

人体への放射線や放射性物質の影響について,くわしく書いている. 現在の版はチェルノブイリの事故のあとでかきかえられたものであり,とくに,放射線は微量でも有害だという仮説を否定して,微量放射線は無害であり,ガンにかかりにくくなることもあることが書かれている. 最近よくきくシーベルトという単位の定義にも,不適切ではないかと疑問をなげかけている.

福島第一原発事故で放射線や放射性物質恐怖を感じているひとは,この本を読めば安心できるのではないかとおもう. とくに,自然にある放射性カリウムが体内にも 3000 ベクレル相当あるのに対して,もれた放射性物質による放射線はずっとすくないという. しかし,内容は比較的専門的だから,よみやすいとはいえないだろう. この原発事故程度の放射線に危険はないという根拠をよく知りたいひとにはよいだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 人は放射線になぜ弱いか@ [bk1] 人は放射線になぜ弱いか@Amazon.co.jp

つづく…

第 1 章では福島第一原発事故を検証している. 政府や東電の発表からわからない部分は 「わるいほうに」 推定している. そのため,不安をあおっている面があることは否定できない. だが,「チェルノブイリの教訓からより多くのことを学んでいく必要がある」 という指摘はそのとおりだろう.

第 3 章では放射線の人体への影響とそれをさけることについて書かれている. 著者はわずかな放射線でも人体には悪影響があるという立場にたっている. これは世界的にみとめられてきた仮説だが,現在は疑問や凡例もあげられているが,著者はそれについては (まったくではないが) わずかしかふれていない. これも公平な態度だとはいえないだろう.

著者は原発の危険性をできるだけ客観的に書こうとしているのだろうが,すくなくとも必要以上に不安をあおっている部分はあり,読者はそれにのせられないようにする必要があるとおもう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 原発のウソ@ [bk1] 原発のウソ@Amazon.co.jp

つづく…

2011-08-21

著者は,石油はもうすぐなくなるが石炭はもうしばらくもつ,太陽光や他の再生可能エネルギーは日本のせまい国土では拡大できないなど,エネルギーに関するさまざまな 「ウソ」 をあばいていく. 原子力に関しては日本の原子炉が地震によわいことをのぞいて 「軽水炉は安全」 といっているが,これはこの本が出版されたのが 2009 年だからであり,いまならおなじことは書けないだろう. しかし,それ以外は現在もあまりかわっていない. 原子力のかわりに 「再生可能エネルギー」 にたよれないならどうしたらよいかをかんがえるうえで,参考になるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 偽善エネルギー@ [bk1] 偽善エネルギー@Amazon.co.jp

つづく…

2011-11-15

著者は人間にとってエネルギーがどれだけ重要なものかというところまでさかのぼって話をはじめる. そして,石油がもうすぐ枯渇するといわれながらそうなっていないことなど,そしてタイトルにある天然ガスの可能性を論じていく.

盲点ということばがあたるほど新鮮な印象はない. 天然ガスに関していえば,日本のエネルギー問題はほかにあまり適切な解決策がないから,論争するまでもなく天然ガスに傾いていくだろう. 天然ガスが解であるのなら,こういう本を書く必要もなかったのではないだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: エネルギー論争の盲点@ [bk1]エネルギー論争の盲点@Amazon.co.jp

つづく…

2012-03-18

チェルノブイリ周辺の住民や原発事故対策にかかわったひとびとの証言をあつめている. この本の解説にもあるように,著者が書こうとしたのは客観的事実だけではなく,ひとびとのこころ,とくに愛である.

福島でも原発事故に対策がとられ,事故そのものや住民の証言が取材されている. しかし,とくに対策に関しては客観性が重視されるぶん,ひとびとのこころがなおざりにされている. 取材においても,まだとらえきれていないもの,そしてこの本からまなぶべきことが,いろいろあるのではないだろうか.

評価: ★★★★☆

関連リンク: チェルノブイリの祈り@ [bk1]チェルノブイリの祈り@Amazon.co.jp

つづく…

2012-04-11

著者の計算によると,原発のかわりに化石燃料をつかうと大気汚染などで年に 3000 人くらいよけいに死亡するが,原発を運転してもそれほど死者はでないという. その真偽はともかくとして,原発か反原発かをきめるときにこういう冷静な思考をすることは必要だろう. 反原発を主張するなら,この本の挑戦をうけるべきだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「反原発」の不都合な真実@ [bk1]「反原発」の不都合な真実@Amazon.co.jp

つづく…

2012-04-12

タイトルからして,あまのじゃく的だ. 書いていることにそれほどおおきなまちがいはないようにおもえるが,被災者への配慮はほとんど感じられない. 原発災害がもたらすのが精神的な被害であることは著者も書いているとおりだが,そうであるなら,著者も,また災害対策においてもそこに配慮する必要があるだろう. それを欠いた著者の主張はうけいれられないだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 原発「危険神話」の崩壊@ [bk1]原発「危険神話」の崩壊@Amazon.co.jp

つづく…

2012-11-09

原発事故やそのときの首相のふるまいについては,すでにさまざまなひとが書いている. それらとくらべてとくにあたらしい話が書いてあるわけではない. ということは,それなりに信頼できる内容だということだ. しかし,自己直後に福島第一原発の吉田所長に会ってその人物をみきわめられたことがその視察の最大の収穫だというところは菅直人だから書けることだろう. 浜岡原発停止決定のプロセスなどについても,すこしあたらしい情報がある. 当時の誤解はだいたい解けているが,誤解したままのひともいるだろうから,この本では根拠をあげて誤解を解こうとしてもいる.

一番ちからがはいっているのは,事故後に,自民党などが政権をとればくつがえされるだろうから実現されるかどうかはわからないが,鳩山由紀夫まで “だまして” 首相の座にいすわって,原発廃止へのみちすじをつけたことの記述だ. ただし,その菅おろしさわぎについてはほとんど書いてない. まだまだ書いてないことはたくさんあり,とくに不利な部分はそうだろうが,原発事故に関する重要な資料のひとつになるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 東電福島原発事故@Amazon.co.jp

つづく…

2012-12-08

タイトルや内容紹介からは,これまで知っていたのとはちがう世界の話なのかと期待がたかまる. しかし,読んでみると京都会議や COP10,ワンガリ・マータイの話など,これまできいてきた話が多い.

著者はケニアを拠点として UNEP という国連機関ではたらいている. だから,知らなかった国連の裏の話などもでてくるのはたしかだ. しかし,国連職員につたわってこないような裏の話はでてこない. そういう意味ではすこしだけ期待はずれだ.

それでも,国連で環境問題にとりくみ,ケニアに住んで現地をみているひとの話は読むに値する. 国連のしきたりや 「刺客」,ケニアのひとびとをとりまく危険とそれへの対処法,そしてそれと環境問題との関係など,知らなかったことはいろいろある.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 日本人の知らない環境問題@Amazon.co.jp

つづく…

2014-03-12

著者はオーロラの研究で有名な地球物理学者であり,地球温暖化の原因が CO2 でないことを主張してきている. 温暖化の話題はこの本でもところどころに登場するが,説得力がない. それだけでなく,著者がもちだす創造に関する議論,パラダイム論など,いろいろな知識をもっていることには感心するが,どれをとっても中途半端な議論でおわっていて単なる随筆にしかなっていない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 知的創造の技術@Amazon.co.jp

つづく…

2021-11-08

温暖化対策に真剣にとりくむことが世界的にもとめられているが,日本では CO2 による温暖化を否定するまたは懐疑的な議論をしている本が多数,出版されている. その数は温暖化対策についての本より多い. これは異常なことではないか?

つづく…

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