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ランダムさをとりいれた計算の背景

計算にランダムさをとりいれることに関しては「ランダム順序の計算」にも書きましたが,ここではもうすこし哲学的な背景について書いてみたいとおもいます.

ランダム順序の計算」に書いた「創発性」とも関係するのですが,なぜ人間には「創造」することができて,機械にはそれができないのかという問題があります. これはもちろんそんなに簡単な問題ではないのですが,表層的にみると,決定論的な動作のなかからは創造あるいは創発は生じないのに対して,非決定論的あるいは確率的な動作のなかからそれが生じてくるとおもわれます. 非決定論的 / 確率的な動作をもっとも簡単に実現する方法はそこにランダムさをとりいれることです. ランダムさをとりいれたからといってすぐに創発や創造がおこるわけではありませんが,すこしでもそこにちかづけるのではないかというおもいがありました.

非決定論は自由意志や時間論とも関係しています.決定論的な世界には意志によってかえられるものがありませんし,時間の矢つまり一方向にすすむという性質がありません. 私は高校生のころから時間というものに興味があって,時間論の本をいろいろ読んでいました. それよりずっとあとになってからですが,プリゴジンの理論,あるいは自己組織の理論やベルクソンの哲学に興味をもちました. 非決定論という意味ではもちろん量子力学とおおいに関係があります. 理論的な関係は把握していませんが,インフレーション宇宙論などとも関係しているようにおもいます. 上記のような哲学的な問題はやはり非決定論的 / 確率的な動作とむすびついています.

なお,上記のような考察の一部は「コンピュータによる自己組織系のモデルをめざして」のなかでもっとくわしく展開しています.

Keywords: 創発的計算, エマージェント・コンピュテーション, ランダマイズド計算, 量子論, 非決定性, 確率性, プリゴジン, 自己組織理論, ベルクソン, インフレーション理論

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2007-05-24 20:16に投稿されたエントリーのページです。

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