「いまは Napster の時代 (?)」 において,P2P (Peer to Peer,ピア・ツー・ピア) の世界では Napster (ナップスター) のように集中型のデータベースをもったアーキテクチャから分散型のアーキテクチャに移行したのと同様に,集中型の Google (グーグル) や Amazon (アマゾン) にかわるものが登場するとおもしろいということを書きました. 検索エンジンに関しては分散型のものもあらわれていますが,書店に関しては分散型の P2P アーキテクチャははたして可能でしょうか?
現在の Amazon は巨大な倉庫から本をおくってきます. したがって,データベースだけでなく物理的にも集中型になっています. しかし,「Amazon の P2P の古書配送はロングテールにふさわしい」 という項目にも書いたように,Amazon はもともとは在庫をもたずに本を流通させていましたし,現在も古書販売においてはそのやりかたを踏襲しています. したがって,効率を最適化することをわすれれば,物理的な集中は容易になくすことができます.
しかし,問題は決済システムです. Amazon で古書を買うばあいをかんがえてみればよいのですが,何冊化の本をことなる古書店から買うとき,それぞれに指定された金額を送金しなければならないとしたら,とてもめんどうです. また,それぞれことなる決済システムをもっていたならば,いちいちちがう ID やパスワードを入力しなければならないかもしれません. したがって,分散型アーキテクチャが可能になる前提として,決済システムが統合されるか,すくなくとも 1 回の操作ですべての相手に送金できるようにする必要があります. ひとつの銀行やカード会社が介在すればそれは可能になりますが,それでは集中型アーキテクチャからぬけられないことになります. 銀行そのものが分散型のアーキテクチャにならなければ,すべてが分散型になったとはいえません. 認証 (ID, パスワード) に関しても認証局を中心とした集中型の構成をかえる必要があります.
分散型の銀行をどうすれば実現できるのか,そもそも可能性があるのか,わかりません. しかし,これはおもしろい概念であり,かんがえてみる価値があるようにおもいます. すでにかんがえたひとはいるのでしょうか?