サブプライム・ローン問題があいかわらずテレビや新聞をにぎわせています. この問題は結局,大量生産の問題なのではないかとおもいます. つまり,均質な商品を大量に生産するために,いろいろなものをまぜてつくる. そのなかにちょっとでもまずいものがまざると,全体がまずくなってしまうということだとおもえます. 期限ぎれした菓子などを販売した問題もさんざんニュースになりましたが,これもやはり大量生産からきたものだといわれています.
「サブプライム・ローン問題を水にたとえれば?」 という項目ではサブプライム・ローン問題をよごれた水がまざるとすべてがよごれた水になることにたとえました. これはちょうど 「異物混入・期限ぎれの食品は廃棄するべきか?」 という項目に書いた飲料への異物混入でロット (生産の単位) 全体が不良品になってしまうこととおなじです. 大量生産によってロットがおおきくなれば不良品の数もおおくなります.
上記の項目に書いたように,赤福などの菓子製造上の問題も販路をひろげて製造量をふやしたためにおこったということです.
20 世紀は大量生産・大量廃棄の時代でしたが,20 世紀後半から,しだいに状況はかわってきています. チャップリンの 「モダンタイムス」 でえがかれたような,作業をこまかく分割したながれ作業はすくなくなってきています. しかし,飲料や菓子の生産においては従来的な大量生産がいまもおこなわれている,そしてさらに金融商品さえも大量生産されるようになっていて,それが問題をひきおこしているのだとかんがえることができます. 金融商品についていえば,「ポートフォリオの問題点 ― とくに確定拠出年金のばあい」 に書いたように確定拠出年金をまかなうために大量生産が必要になってきています. 確定拠出年金に問題があるとしても,制度ができたときにそれを私自身が選択してしまっている以上,私もそこからぬけだすことはできません.
こうしたことをかんがえると,いまでもなかなか大量生産の罠からぬけだせないということになります. サブプライム・ローンのような問題,あるいは赤福におけるような問題はこれからもおこってくるでしょう. 大量生産がやめられないとすると,よく目をみひらいて問題をはやくみつけだす以外にはあまりよい方法はないようにおもえます. (写真は 「迫りくる世界経済クライシス ─ サブプライムローンという信用収縮問題」 から借用させてもらいました.)
関連項目 (2008-9-27 追記):